映画「ミニオンズ」最新作、TikTokトレンドに乗った若者らが迷惑行為　入場禁止する映画館も

1日に公開された映画「ミニオンズ フィーバー」をめぐり、イギリスの映画館が混乱に陥っている。TikTokでのトレンドに乗った10代の若者たちが迷惑行為を行っており、この影響で上映を取りやめたり、トレンドに乗ってスーツ姿で来場した若者の入場を断ったりする映画館も出てきている。

TikTokでは、「ミニオンズ フィーバー」にちなんだ「#gentleminions」というハッシュタグが流行。スーツに身を包んだ若者たちが大勢で映画館に押しかけ、上映中に大声をあげたり物を投げたりしている動画が広く拡散され、中には視聴回数が数百万回に上る投稿もある。

動画の中で若者たちは、「ミニオンズ」シリーズの主人公グルーの物まねをしているほか、5年ぶりの最新作を祝して「5年もの待ち時間は終わった」などと騒いでいる。

制作会社のユニバーサル・ピクチャーズもこのトレンドを取り上げ、「スーツ姿でミニオンズを観に来ている人たちへ、皆さんを見ているし、大好きです」とツイートした。

しかし映画館はこのトレンドに否定的で、若者たちの下の動画のような振る舞いを批判する声もある。

BBCが取材したある映画館の従業員は、初めて映画館に来る子供たちの体験を台無しにしないでもらいたいと語った。

英仏海峡にあるガーンジー島では、島で唯一の映画館が「ミニオンズ フィーバー」の上映を中止。器物破損のほか、物を投げ、従業員に危害を加えるといった「非常に悪質なふるまい」があったからだと説明した。

マラード・シネマのダニエル・フィリップス＝スミス支配人は、「本当に胸が張り裂けそうだ。事態を解決しようとしてもスクリーンの前に戻ろうとしない家族や、映画が始まる前に帰ってしまう家族もいた。そしてもちろん、子どもたちは泣いていた」と語った。

また、映画鑑賞を妨げられたという顧客に全額を払い戻したため、「巨額」の損失が生じたという。

英コーンウォール・ウェイドブリッジのザ・リーガル・シネマは同作品について、「保護者が同伴していない、スーツ姿の子供」の鑑賞を禁止すると発表した。

「正気じゃない」

映画館の従業員によると、スーツ姿の若者たちは上映中に「歓声を上げ、拍手し、はやしたて」、足を椅子の上に乗せたりしていたという。

「しばらくは観客と話をしようとしたが、どうにもならなかった。なので制止した上で、ありがとうございます、でもTikTokの流行のあれこれはやりませんと言わざると得なかった」と、従業員は語った。

「生まれて初めて映画館に来る子供を連れた人たちがいるので、その体験を本当に守りたかった」

ソーシャルメディアでは、映画館チェーン「オデオン・シネマ」の前に「最近の #GentleMinions 流行による迷惑行為を受け、正装でご来場のグループは『ミニオン フィーバー』をご覧いただけません」という掲示があったという投稿もみられた。

あるツイッターのユーザーは、若者たちの動画を投稿し、「GentleMinionsのTikTokトレンドは正気じゃない」と書いた。

一方、 #gentleminions の流行に乗った若者たちを称賛する声もある。

サリー州の学校で担任補佐をしているステイス・ウッズさんはSNSに、映画館で見かけたスーツ姿の若者グループは「とても楽しんでいて」、「とても良いふるまいだった」と投稿。グルーのポスターの前で深々とお辞儀をしたり、ウッズさんの子供たちと一緒に写真を撮ってくれたりしたという。

地方紙マンスフィールド・チャドに投稿したある男性は、映画館のスーツ姿の若者の入場禁止措置が、白シャツにカラーを着けていただけの13歳の息子のグループにも適用されたと訴えた。

このグループは入場を拒否されたため、両親たちが来るまでジャケットなどを持ってきて、禁止されている服装を隠した上で、映画を観たと報じられている。

オデオン・シネマの広報担当者は、「この週末に我々の映画館で少数の事件が発生したため、状況によっては入場制限を行わざるを得なかった」と説明している。

一方、別の映画チェーン「ヴュー・シネマ」は、同作品は公開直後の週末に「非常に人気」で、今後も全ての観客を受け入れる方針だと述べた。

「ミニオンズ」シリーズは2010年に始まった「怪盗グルーシリーズ」のスピンオフ作品。最強最悪の悪党を目指すグルーと、手下の黄色いミニオンたちは、インターネット上でさまざまなミームに使われ、大きな人気を博している。

（英語記事　Cinemas ban teens in suits after Minions mayhem）