「5日夕方に復旧」KDDI“通信障害”救急搬送やアメダスも影響…長引いた原因は?解説[2022/07/04 23:30]

2日に発生したKDDIの大規模な通信障害は、週明けの4日も電話がつながりにくい状態が続きました。

auユーザー:「アプリとかが多いですし、なんなら決済とかも携帯使っているので、さすがに1日以上使えないのは困ります」

友人がauユーザー:「“キスマイ”のコンサートに私一緒に行くんですけど、その時に友達がauの携帯を使っていて、チケットが表示できなくて困っていたりとか。一種の災害なんじゃないかと思っている」

あまり見かけなくなった公衆電話に頼る人も。

公衆電話を使った人:「(Q.全然つながらなかった?)市内はできるけどね。今、神戸にかけたんだけど、公衆(電話)つながらなかった。(Q.誰と連絡?)会社。連絡できないからしょうがない。もう家からせなあかんわ」

配送業者も顧客との連絡に苦労していました。

業務用精肉業者:「(取引先の)携帯がつながらないので、1回会社行って、会社の電話からようやくって形で(Q.受注できた?)それで朝、慌ててって感じなんですけど」

救急搬送などにも影響が広がりました。

障害が発生した初日の2日、滋賀県の大津市消防局などによりますと、妻と登山道を歩いていた男性(62)が転倒。骨折したかもしれないと、119番通報しようとしましたが、2人ともauでつながらず。通りかかった登山客に通報してもらい、防災ヘリで救助されました。

警視庁によると110番の通報件数については、先週末、1割ほど減少していたことが分かりました。

埼玉県松伏町にある、民間救急介護タクシー。24時間体制で、病院などへの送迎を行っていますが、受付用の携帯電話が、すべてauです。

民間救急介護タクシー『すまいる』鈴木明人代表:「もう開店休業状態です。待てど暮らせど連絡がないので、動きようがない。土日は夜中に『助けてほしい』って電話が鳴りがちなんですが、それが一切電話がつながらないので、大丈夫かな大丈夫かなと不安が募っていました」

4日午前2時過ぎの着信は、途切れ途切れでしたが、病院名だけは聞き取れたため、無事に搬送できました。

今回の件は、大きな教訓になったといいます。

民間救急介護タクシー『すまいる』鈴木明人代表:「もしかしたら困っている人がいるのに、電話がつながらない。こういうことは今までそうはなかったので、私もそこまで危機管理をしていなかったのも悪かった」

KDDIは4日に会見を開き「全面復旧のメドは、5日の夕方」と説明しました。

KDDI技術統括本部長・吉村和幸氏:「全面的な復旧の見通しですけど、現時点におきまして音声・データ通信はほぼ復旧しています。(最終的な復旧の)めどとしましては、5日の夕刻のめどになっています。この度はお客様に多大なご迷惑をかけ、深くおわび申し上げます」

また、なるべく早く、再発防止策を策定し、ユーザーへの補償については、今後、改めて説明するとしています。

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4000万回線近くに影響が及んだ今回の通信障害。通話やデータ通信を制御するためのルーターという設備を、定期メンテナンスで新しいものに交換した時に不具合が発生しました。これによって15分間、音声通信が不通になりました。

復旧のため、古いルーターに戻しましたが、15分間処理できなかったデータが一気に交換機に集中。そのアクセス殺到を防ぐために、KDDIは全国的に通信量を半分に制限するなどしたため、影響が拡大したということです。

なぜ、ここまで長引いたのでしょうか。

ITジャーナリスト・石川温氏:「約4000万という大規模なユーザー数がいたこと。また、完全に復旧していない状況で制限を解くと、再び同じ状況を招く可能性もあるため、慎重に対応していた」

通信障害はATMやキャッシュレス決済、物流、自動車ネットワークサービス、通報など様々な分野に影響を及ぼしました。アメダスの一部の観測地点でデータが収集できず、気象にも影響が出ています。

ITジャーナリスト・石川温氏:「通信障害が発生したら、別の通信会社につながることができる仕組みが必要。ただ、他の会社のサーバーがダウンする恐れもあるため、緊急度の高い通信だけでもできるようにすべき」

さらに、個人ができることとして「大切な人とはアプリでの通話など、音声通話以外の別の連絡手段を用意しておくことが大切」としています。

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