――今回のドラマは、宮藤さんが長年温めてきた企画で、脚本も監督も務めたこん身作。しかも、関東近郊の廃校の校庭に仮設住宅の「街」(オープンセット)を造って撮影したと聞きました。撮影を振り返って思い出されることは?素晴らしいオープンセットでした。海辺の街を連想させるような湖が見えるロケーションでした。仮説住宅の街を丸ごと作って、それぞれのキャラクターに合った部屋が作り込まれ、そこに人々が12年間暮らしている生活の匂いがありました。寒い中(主な撮影は2022年12月から23年2月にかけて実施)、毎日みんなで朝日を浴びて、夕日を眺め、星や月を見て、じゃあまた明日、とホテルに戻って。ホテル近くの銭湯に行ったらサウナに荒川良々さんがいて、水風呂に入ったら宮藤さんがいて、外気浴してたら太賀が隣で寝てて…、お風呂上がりに青年部の3人で乾杯して。ものすごく贅沢(ぜいたく)で幸せな環境での撮影でした。物語に真実味を与えてくれる大きな力をもらえました。僕も初めて仮設住宅が建っている現場を見た時、本当に誰か暮らしているんじゃないか、と思いました。空き部屋もあって、すでに出て行った人もいる感じがリアルで、そこが
ちょうど僕のクランクインは、第1話で六ちゃん(濱田岳)が女の子を背負って初めて一人で「街」の外に出ていった時に一瞬すれ違うというシーンだったのですが、その前に六ちゃんが「街」の外の道路を走り始めるシーンの撮影を見学していて、六ちゃんと同じように僕も「街」の外の道路がどこまでも続く線路に見えたんです。そのことが印象的でした。「街」の閉塞感みたいなものが生々しくて、ちょっと切なくもあり、すごくいい場所で撮影させてもらえているんだな、と実感しました。初めてセットを見た時は、すごく感動しました。大掛かりなセットで一棟ごとに細かいところまで作り込まれていて、それぞれの部屋の人たちの暮らしぶりが見えてくる小物類があって。三ツ松けいこさんをはじめ美術チームのものすごい熱量と、工夫と、リサーチ力が手に取るようにわかるというか、相当気合を入れて作り込んでくださったんだなと思って。そこでのびのびと撮影ができたのは、俳優部としてはこれ以上ないくらい、ありがたかったです。――池松さんは、主人公で、街の住人を観察し、それを報告して収入を得るために街に潜入した半助こと田中新助を演じました。宮藤組は初参加なんですね
人が人を好きになる「恋愛」というものも「人間」を描く上で、あるいは「街」を描く上での1要素。オカベのかつ子への思いは記号的にならないようにしつつ、記号的にやるみたいなことを心がけていました。そんなわけないだろうとツッコミを入れたくなるほどかなりうそっぽいんだけど、本当に好きなんだな、と共感してもらえたらいいなと思っていました。――宮藤さんは「どこか冷めていた半助が、ラストに向かって変貌していく様も見どころ」とコメントされていました。池松さんが思うこのドラマの魅力は何だと思いますか?たくさんありますが、何より山本周五郎さんの原作と宮藤さんのマッチングでしょうか。宮藤さんが長年温めてきた企画で、黒澤明監督の『どですかでん』は戦後ですが、今回の『季節のない街』は震災後の現代の物語として再構築されています。原作小説はいつの時代にも起こりうる大きな破壊の後の荒野を舞台に人間の喜悲劇として読むことができ、その普遍的な物語に宮藤さんの息吹がかかり、現代に漂う気分をつかまえて見事な物語としてよみがえりました。コンプライアンス意識が高まった現代からすると、非常に触れにくい部分もあったと思うのですが、行き
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ソース: SportsHochi - 🏆 53. / 63 続きを読む »