ウクライナ中部の商業施設にミサイル攻撃、ロシアの戦争犯罪だとG7首脳
ウクライナ中部ポルタワ州クレメンチュクのショッピングセンターに27日、ミサイル攻撃があり、少なくとも18人が死亡、59人が負傷した。ロシア軍による攻撃とみられ、死者数は今後増える可能性がある。ドイツで集まっている主要7カ国(G7)首脳は、戦争犯罪にあたると非難声明を出した。
ミサイル攻撃は27日午後3時50分ごろに起きた。当時ショッピングセンター内は混雑しており、推定約1000人の民間人がいたと、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は説明した。
ゼレンスキー氏は、ショッピングセンターにはロシアにとって戦略的価値はなく、占領軍を脅かすものでもなかったとし、「日常生活を送ろうとする人だけがそこにいた。そのこと自体が、占領者を激怒させる」のだと述べた。
大統領はさらに、「欧州史上最も恥知らずなテロ行為」の1つだとした。
ウクライナ空軍司令部は攻撃について、長距離爆撃機「Tu-22M3」から発射された「Kh-22ミサイル」によるものだと発表した。BBCはこれが事実かどうか検証できていない。
ポルタワ州のドミトロ・ルーニン知事は、「人類に対する犯罪行為で、民間人に対する明らかな冷笑的テロ行為」、「戦争犯罪だ」と、メッセージアプリ「テレグラム」に書いた。
ロシア政府はこの攻撃についてまだコメントしていない。ロシアはこれまでも一貫して、民間人を標的にしたことはないと主張している。
クレメンチュクはウクライナ有数の工業都市のひとつで(2021年の国勢調査では人口約22万人)、ロシアの支配地域から約130キロ離れた場所にある。同市では4月に1回、10日前にも近くの製油所への攻撃が確認されている。
G7首脳会議の最中の攻撃
ドイツ南部エルマウで首脳会議を開いているG7各国首脳は、ショッピングセンター攻撃を「忌まわしい」と非難。共同声明で、「罪のない民間人への無差別攻撃は戦争犯罪にあたる」とした。
そして、「ウクライナへの財政的、人道的、軍事的支援を必要な限り継続する」と表明した。
アントニー・ブリンケン米国務長官は、「残虐行為が相次ぐ中、またしても新たな攻撃が起きた」と述べた。
ボリス・ジョンソン英首相は、「このとんでもない攻撃は、ロシアの指導者がいかに残酷で野蛮かをあらためて示した」と述べた。
「街の中心部」が標的に
インターネット上の複数の画像では、ショッピングセンターの建物が炎に包まれ、真っ黒な煙が立ち上っている様子が確認できる。
ウクライナ国家緊急サービスによると、57の部隊が消火活動にあたった。
通信アプリ「テレグラム」に投稿された画像には、屋根が陥没し、黒く焦げた建物の骨組みが写っている。
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攻撃の直後に撮影された動画では、1人の男性が「生きている人はいるか(中略)誰か生存者は?」と呼びかけているのがわかる。その後すぐに救急車が到着し、負傷者は病院へ搬送された。
夜になると、救助隊が拠点を置いている通り沿いのホテルに、行方不明者の家族が集まり知らせを待った。ロイター通信によると、現場には証明や発電機が運び込まれ、捜索を夜通し続けられる状況だという。
目撃者のヴァディム・ユデンコさんは、「以前は街の郊外が攻撃されていました。今回は街の中心部です」とBBCに語った。
「まったく言葉になりません。自分の街にこんなことが起きるなんて予想していませんでした」
東部では給水中の市民が死亡
ショッピングセンターが攻撃の標的となった数時間後、東部ルハンスク州リシチャンスクで給水をしていた市民の間にロケット弾が着弾し、8人が死亡、21人が負傷した。同州のセルヒィ・ハイダイ知事が明らかにした。
知事は声明と健康に対する現実的な脅威」に見舞われているとして、市民に直ちに避難するよう命じた。
リシチャンスクは、近隣の街セヴェロドネツクをロシア軍が掌握した後もウクライナ軍の支配下にある、最後の主要都市となっている。