新浜は小学5年で入団してきた。スタートダッシュは速かったが、レースで何度も転倒を繰り返した。そんな新浜を「転んでしまうということはトップスピードがあるからこそ。悪いことじゃない。次、転ばないように練習していこう」と励ました。何より大事にしていたのは「スケートを嫌いにならないこと」。互いの趣味の釣りの話題も振って、楽しい方向へ導いた。
その4つ下、森重は小学2年から通った。「何をやらせても器用で、身体能力はものすごく高かった」。スケートの技術には課題も多かったが、「タイミングをつかんだら、ぽんぽんと成長して中3の時に中学記録を出した。のみ込みが早い選手だった」と懐かしむ。 1981年に創立した少年団は町営のリンクで活動している。12月中旬になると保護者が協力し、1周400メートルのオーバル状のアスファルトに徹夜で車のタンクに積んだ水をまく。1日で1ミリ前後。1週間をかけて3ミリほどの厚さの天然のリンクを整える。ただ、使えるのは1か月半ほど。帯広や釧路に比べて環境面のハンデがあったが「どうやったら同じ練習ができるのかを常に考えてきた」。釧路や帯広に遠征した帰りの車で課題を確認し、陸上で修正してから氷に戻るなど時間の使い方も工夫した。
別の少年団で育った女子の郷亜里砂(34)=イヨテツク=を含め、別海町から3人が今大会に出場した。「天然リンクで練習環境は限られているけど、釧路や帯広に何とか追い付こうという思いでみんなが頑張ってきた」。地元の思いも背負い、2人が白鳥のように羽ばたいた。(林 直史)
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