両チームともに課題が見える試合だった。まず2打席連続本塁打の清宮幸太郎だが、打球は見事だった。1本目は差し込まれていたが、うまく払うようなスイング。あそこまで飛ばすのは天性の飛距離だろう。

2本目は狙っていたと感じた。こうした活躍を目の当たりにすると期待したくなるが、冷静に見れば克服すべきポイントはある。ぐっと投手側に踏み込むタイプではない。軸足でくるっと回るスイング。抜いたボールへの対応がどうなるかだ。

この日の2本はいずれも早いカウントだったが、今後は追い込まれてからの打撃がより求められる。ストレート待ちでの変化球対応だ。中でも外角へ抜いた変化球、例えばチェンジアップなどをどう打つか。

大きいのを狙うだけでなく、ヒットを打つにはどうすべきか、よく研究した方がいい。高校時代は柔らかさがあったが、プロの投手相手には硬さが目立つ。もう少し、右膝の柔軟性を意識し、右膝を使うことができるようになれば、可能性は広がる。

日本ハムの打者は若い。若さはいいことだが、打席での準備が足りない。中盤までに2度、無死二塁があった。2回は今川が三振、5回は田宮が一ゴロで進塁打も、その前の三塁側へのファウルを見ると、一塁側へ引っ張る意識は感じられなかった。打席に入る前に、自分の役割を頭の中で整理すべきだろう。

巨人は相手ミスを確実に得点につなげ、最後は中田の会心の本塁打で試合を決めた。ただ、序盤は杉浦のまっすぐに強振し過ぎていた。球威に負けまいと、力んで振っているが、少し冷静にスイングすれば活路は見いだせる。

5回、松原が真っすぐを中前にタイムリーを放ったが、初回の空振り三振よりも若干力が抜け、コンパクトなスイングだった。力任せに振ってもヘッドは出てこない。言葉で表すなら、ポ~ンとバットを出しにいくイメージで、インパクトの瞬間、ヘッドを利かせながらパチンとボールをとらえる。実践するのは難しいが、そういう意識づけは大切だ。

岡本和にゆとりが感じられない。8回1死一、三塁。初球に一塁の吉川がいいスタートを切ったが打ってファウル。調子のいい時なら1ストライク取られても盗塁を待ち、仕切り直す余裕がある。自分の状態に危機感があるから、1球目から打ちにいくのだろう。

ベンチからすれば今の状態では併殺がちらつくから盗塁で二、三塁にしたい。しかし、岡本和には余裕がない。連敗は止めたが、こうしたかみ合わせの悪さを見ても、巨人にも不安材料は散見される。(日刊スポーツ評論家)

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日本ハム対巨人 6回裏日本ハム1死、右越え本塁打を放つ清宮(撮影・黒川智章)
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