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「AIは簡単につくれる」4日間の高校生向けプログラムでAIへの興味と創る楽しさを体験

高校生プログラム「東京未来ファクトリー」レポート(DAY 4・後編)

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 東京都教育委員会が、「工業で社会課題を解決できる都立工業高校の生徒を目指し、高度な知識技術や工学的思考力・発想力を持った、未来のスペシャリストを育成する」事業、「東京未来ファクトリー」が2021年9~10月にオンラインで開催された。

 2020年度の始まり、今年で2回目。都立工業高校から一般募集した20人の生徒がオンライン上に集い、最先端技術者による講演やAIプログラミングなどの4日間のプログラムを体験する。

 なお、DAY1の様子はこちらの記事に掲載されているので、あわせてご覧いただきたい。当記事では、最終日のDAY4に行われた基調講演と修了式の様子を紹介する。

DAY2とDAY3では、Scratchと「Google Teachable machine 」を使ったAIプログラミングを体験した

重度のゲーム廃人から博士号取得と起業へ

 DAY4の講演者として登壇したのは、ニュース配信アプリなどで知られるGunosyの共同創業者であるエンジニアの関喜史氏だ。関氏は、廃人ゲーマーだった学生時代のエピソードから、Webの基礎知識の解説、ものづくりへの想いまでを約1時間にわたって熱く語った。

自身も未踏クリエータである関氏は、17歳以下の優れたクリエータを支援する「未踏ジュニア」のメンターも務めている

 関氏は自身のキャリアを振り返り、「ネットゲーム廃人をしていた頃は目も当てられなかったけれど、『面白いことを頑張ってやる』『高い目標を立てて、それに向けて頑張る』ことだけはずっと欠かさずやってきた。好きなことに対して全力で取り組めることが、行き当たりばったりだった人生を支えてくれた」と話した。

 次に「Webの基礎知識」として、Googleやアマゾンなどの既存サービスを例に、Webやソフトウェアについて解説した。

「インターネットは仕組みで、その上に載っているものがWeb」と、混同しやすい概念を明快に解説

 関氏は、「インターネットにつなげて、データをやりとりしているのは全てWebサービス」として、データを安価かつ高速に送ったり受け取ったりでき、コンピュータで受け取った情報を処理できることはWebならではの利点だと語った。

 そのうえで「現在はすでにWebにある情報は整理され、ビジネスになっているため、今後はいかにWebにない情報を取り込めるか」とし、AIなどを使うことで、データになっていなかったものをデータ化でき、新しいビジネスやサービス、世の中になかった価値を生み出すことができるという。

「学ぶだけでなく、とにかくつくって世に出すこと」

 関氏は参加者の工業高校生たちに向けて「皆さんはひとつの専門家。プログラミングやAIをはじめ、皆さんが勉強しているものが、どんどん世の中に価値を生み出す時代になっている」と伝え、「学ぶだけではなく、形にして世の中に出す」ことの大切さを語った。

 さらに、「ソフトウェアは誰かが使って初めて価値を生む。架空のユーザーより現実の一人、自分がほしいものをつくろう」と呼びかけた。「ほしい」「困っているからどうにかしたい」といった欲求から考えることが大事だという。そのためには「ほしいものを探す」スキルが必要になる。また、いきなり大きな課題にするのではなく、まずは小さな課題に分解して取り組むためにも、日頃から考える習慣や訓練も重要で、これは意識することで鍛えていくことが可能だ。

 最後に、「楽しく学んで楽しくつくろう。世に出して、またつくっていく。そういうことがみなさんの人生をより豊かにしてくれる」と関氏は話し、講演を締めくくった。

自身の経験と知識を惜しみなく伝えてくれた関氏の話は、「すごくおもしろくて、興味をもてた」「ものづくりへの自信をもらえた」と参加者それぞれに深く伝わった

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