今はウクライナでもビットコインを扱う会社や使える店が増えている PAVLO GONCHARーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGESウクライナの答えはビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)だ。ロシアからクリミア半島を取り戻すことは無理でも、仮想通貨に群がる金融業者は呼び込めるかもしれない。だが、そこにはリスクが潜む。
ウクライナの南東部、ロシアからも近いザポリージャ原子力発電所のすぐ隣で、ビットコインのマイニング(売買取引を記録し、その報酬として新たに発行される仮想通貨を得る作業)のための施設が建設されている。ザポリージャ原発の規模は欧州最大だ。 そこを運営する国営企業エネルゴアトムと民間企業の「H2」が約7億ドルの資金を投じて、同原発の電力を無尽蔵に消費する施設を造っているのだ。マイニングには膨大な電力が必要なので、発電所にとっては願ってもない「お得意様」となる。いささかうさんくさい話だが、ウクライナ政府は本気で仮想通貨に賭けている。この国には既に「デジタル転換省」というのがあり、いま議会では仮想通貨の新法案が審議中で、関連企業に対する税制上の優遇策も検討されている。
「わが国には才能ある技術者と、ブロックチェーンを生成する企業のコミュニティーがある」と豪語するのは同省副大臣のアレクス・ボルニャコフだ。「彼らは他国の企業よりも早く仮想通貨の勢いに気付き、ビジネスにつなげている」 公式統計によれば、この国には今でも100前後の仮想通貨関連企業がある。サイバーセキュリティー企業のハッケンや投資団体のまとめた報告によれば、2019年7月からの1年間にウクライナから送金された仮想通貨の価値は米ドル換算で82億ドル、入金額は80億ドル相当だった。
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