5月中にも緊急事態宣言が解除される地域も出るようだが、消費者心理は厳しい状況にある。内閣府「消費動向調査」によると、消費者態度指数は急速に悪化している。4月の値は21.6を示し、リーマンショック後の最低値である2009年1月の27.5を5.9ポイントも下回った。
今後、新規感染者数の減少傾向が続く地域で緊急事態宣言が解除されれば、5月の消費者心理は上向く可能性もある。しかし、ウィルスとの戦いは依然として続いている。さらに、雇用環境が悪化している中では、劇的に消費者心理が改善されることは考えにくい。消費者心理の悪化によって、家計の消費支出も減少している。総務省「家計調査」によると、2020年3月の二人以上世帯の支出額は前年同月と比べて実質6.0%減少した。しかし、その内訳を見ると、外出自粛等の影響によって需要が増した領域もあり、明暗が分かれた結果となっている。 図2に、新型コロナの影響を受けた可能性のある主な支出項目を示す。また、図3には、インターネットを利用した購入で支出額の大幅な増減が見られた項目を示す。支出額が増えた項目を見ると、保存の効く食料品やトイレットペーパーなどの「買いだめ的な行動」のほか、「巣ごもり需要」や「デジタル需要」、「非接触志向」の高まりといった消費行動の変化が見える。「巣ごもり需要」については、食の面では、食事代や飲酒代などが減少する一方、出前やビール、チューハイ・カクテルが増加していることから、外食から中食へ、外で飲むのではなく「家飲み」へと、需要が外から中へと移っている様子がわかる。若者を中心にオンライン飲み会なども増えているとも聞く。
また、日用品・美容では、外出を控え、外出時にマスクをする生活では化粧をする機会が減るのか、口紅などのメイクアップ用品の支出額が減少している。また、緊急事態宣言下では多くの理美容店が休業したため、理髪代やカット代が減少する一方、理美容用家電器具(ヘアドライヤーや美容家電を含む)やヘアコンディショナーなどの支出額が増加しており、美容の面でも需要が外(あるいは外向きのもの)から中へと移っている。
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