「こんにちは!マッチでーす!」 お決まりの自己紹介で、あっという間に子どもたちの心を掴む。表情は柔らかく、温かい。2018年まで巨人で外野手としてプレーした松澤裕介さんは、地元の愛知県で指導者として精を出す。 岐阜・朝日大から2015年に独立リーグ・四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに入団。シーズン打点王に輝き、その年の育成ドラフトで巨人から3位指名を受けた。しかし直後に左手の故障が発覚し、無念の入団辞退。1年後のドラフトで再び育成8位で名前が呼ばれ、入団にこぎつけた。 まずは支配下登録、そして東京ドームでの躍動……。夢見ていたNPBでの生活は早速つまずいた。1年目の夏以降、恥骨の痛みに苦しんだ。診断の結果は疲労骨折。悪化しないように治療しながらのプレーが続いた。
「試合前日の夜の過ごし方を変えたり、練習の2時間前に球場に行ってストレッチをしたり、野球に全てを捧げました。でも、1軍で活躍するみなさんはそういうことを当たり前にされていた。怪我をしないと気付かない部分でもありました」 巨人での日々が故障一色にならなかったのは、ひとりの先輩との出会いが大きかった。3軍で迎えた1年目の春季キャンプ。怪我で調整中だった片岡治大・現3軍野手総合コーチもメンバーに入っていた。フルスイングが持ち味の自分とはタイプが違ったが、プレースタイルに憧れていた存在。このチャンスを逃すまいと、毎朝「おはようございます!今日寒いですね」などと話しかけ続けた。...
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