アメリカの昨年のGDP、前年比5.7%増 37年ぶり大幅な伸び

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米商務省は27日、昨年1年間の国内総生産(GDP)の伸び率が前の年と比べてプラス5.7%だったと発表した。新型コロナウイルス対策のロックダウンの影響から経済が回復する中、1984年以来37年ぶりの大幅な伸びとなった。

消費者支出と政府の景気刺激策が、2020年からの回復を後押しした。同年はパンデミックの影響でGDPが3.4%縮小していた。

昨年10月~12月期のGDPは年率換算で前期比6・9%増と、予想を上回った。

労働市場では、2020年に経済活動の停止で約2200万人分の仕事が失われたが、昨年はそのうち1990万人分を取り戻した。

高成長について、ジョー・バイデン大統領は「偶然ではなく」むしろ政府の経済回復への取り組みがもたらしたものだと自賛した。

一方でアナリストは、米政府が景気刺激策を縮小し、 米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げることから、今年の経済成長は鈍化すると予想している。高インフレや新型ウイルスのオミクロン変異株の影響なども、リスク要因として指摘されている。

世界銀行は今年の米経済の成長率を3.7%となると予測している。

「オミクロン株の感染の波により、2022年の経済はかなり弱い足取りで始まっており、年内の今後の成長も期待外れのものになると思われる」と、キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は述べた。

Federal Reserve chair Jerome Powell

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画像説明, 米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長はインフレ対策を迫られている

アメリカの物価が過去40年で最も速いスピードで上昇するなか、FRBはインフレ対策を迫られている。FRB関係者は当初、この状況は一過性のもので、新型ウイルスによって引き起こされたサプライチェーンの問題を乗り越えれば収まるだろうとしていた。

アナリストからは、FRBの対応が遅すぎたとの声や、FRBが今後あまりに積極的に出て、借入コストが上昇し、予想以上に需要が減少するのではないかとの懸念があがっている。

米株式市場では3週連続で株価が下落している。直近のデータは、12月末と1月にオミクロン株が広がり、減速傾向にあると示唆している。

「今日の数字は、直近のCOVID-19患者急増の影響の一部が反映されていない、2021年12月末までのGDPを示すもの」だと、チャールズ・シュワブUKのリチャード・フリン氏は指摘した。

「実際、2022年最初の数週間はアメリカの株価指数全体に弱さがみられる。投資家たちは金融・財政流動性の後退やパンデミックによる持続的な影響、インフレ圧力の上昇といった経済が直面するリスクに対処している」