タリバン、オスロで欧米諸国と協議開始 人権や人道危機など焦点

Taliban officials are in Norway for talks with western officials

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画像説明, 欧米諸国との協議のためノルウェー入りしたタリバン代表団(22日、オスロ・ガーデモエン国際空港)

アフガニスタンを支配する武装勢力タリバンと、欧米各国との対面協議が23日、ノルウェーの首都オスロで始まった。昨年8月にタリバンがアフガニスタンの政権を奪還して以来、代表団が欧州で欧米政府と協議するのは初めて。一方、タリバンと協議することに反対する抗議集会も、週末にかけて欧州各地で開かれた。

非公開の協議は3日間続く予定で、アフガニスタン国内の人権や人道危機の状況も検討する。

最も重要とされる24日には、タリバンは欧米各国に対して、アメリカの銀行で凍結されている数十億ドルの出金を認めるよう要請する見通し。

タリバン代表団のシャフィウラ・アザム氏はAP通信に対して、「アフガン資産の凍結を解除し、政治対話を理由に一般のアフガニスタンを苦しめることがないよう(欧米に)求める」と話した。

「今は厳しい冬で、飢えが広がっている。国際社会はそろそろ、政治的対立を理由にアフガニスタン人を罰するのではなく、アフガニスタン人を支えるべき時期だと思う」とも、アザム代表は述べた。

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タリバンの復権以来、アフガニスタンでは失業と食料価格が急騰する一方、通貨の価値は急落し、金融機関は現金引き出しに上限を設けている。

国連によると、アフガニスタン国民の95%が十分な食事をとれていない。人口の55%が飢えの危険にさらされている状態という。

タリバン代表団は22日夜にオスロに到着。23日には、代表団の一部が人権活動家と面談したものの、話し合った内容は公表されていない。

女性の権利活動家のジャミラ・アフガニさんはAFP通信に対して、代表団は「好意的」な態度だったと述べ、「発言をもとに、実際にどう行動するかを見てみよう」と話した。

「タリバン承認ではない」

Police guard a road leading to the hotel in Oslo

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画像説明, タリバンと欧米諸国との協議はオスロのホテルで行われている

欧米側はタリバン代表団に対して、人権尊重と包摂性の高い政権作りを強く求める見通し。

昨年8月の政権奪還以来、タリバンはほとんどの女性について外で働くことを禁止。中学・高校には男子生徒と男性教師しか通うことができなくなった。こうした権利抑圧に抗議する女性たちへの取り締まりも厳しくなり、活動家の中には行方不明になった人たちもいるが、タリバンは関与を否定している。

人権活動家やジャーナリストに対するタリバンの攻撃も悪化している。

これまでのところ、タリバン政権を正統なアフガニスタン政府と承認した国はない。

ノルウェーのアンニケン・ウィットフェルト外相は21日、協議の開催を発表するにあたり、代表団と協議するからといって「タリバンを正当化するわけでも承認するわけでもない」と述べた。

「それでも、国の事実上の当局とは話をしなくてはならない」とも外相は話した。

今回の協議について、国外のアフガニスタン人の意見も割れている。BBCのリーズ・ドゥセット特派員によると、タリバンと関わるのは大事だと指摘する人もいれば、本国で人権侵害を繰り返すタリバンを欧州の首都に招いてはならないという意見もある。

オスロでの協議に反対する人たちが週末にかけて、欧州各地で抗議集会を開いた。オスロで抗議した1人はAFP通信に対して、家族を失ったアフガニスタン人を「面と向かって笑い飛ばす」ようなものだと協議を批判。「テロリストと話し合ってはならない」と述べた。

動画説明, タリバン政権下で学校に行く少女たち アフガニスタン