中野編
将来の資産価値か?納得の上で安さを取るか?
ディープな時計ショップひしめく中野ブロードウェイ。このラビリンスの主とも言える「ジャックロード」には第3世代のRef.6265が2本鎮座していた。一瞥した限りさほど違いはなさそうだが、価格差は262万円! これはコンディションの違いに加えて、オリジナル性の差が大きい。安い方は"スモールデイトナ"と呼ばれるDAYTONA表記の小さい交換用文字盤を装着していたのだ。「でもボクはそこまでオリジナルにこだわらないし、もし買っても売ることもない。だからこの2本なら断然安い方を選ぶね」とエリック。それも至極真っ当な意見だろう。
中野2軒目の「タイムゾーン」では、第3世代のプロトタイプとなったRef.6240のほか、第1世代の"赤巻き"ポール・ニューマンを発見! ともにかなりマニアックなモデルであり、高い値付けも納得。というか、ポールの2980万円はかなりのバーゲンプライスかも。ああ、こういうのをサラリと買えるお大尽になりたい……。
最後の締めで訪れたのは「グッドウォッチ」。ここには幻の"ソロ"(Ref.3239の最初期モデルで、ROLEX表記1本のみ)もあったが、じつは我々の本当のお目当ては、同店サイトで見かけた500万円台のRef.6239。インダイアルに黒ずみがあるが、概ねコンディションが良好そう。店主の山田さんによれば委託販売の個体だからこその安値らしい。「これを今買って何年か使っても、程度を保っていれば元値近くで売れるのでは。それどころかこのまま高騰が続けば販売時の価格より高く売れることも考えられる。手巻きデイトナはそんな特別な時計のひとつです」と山田さん。
その言葉に激しく揺れ動く3人の心。ローンという手もあるし、たしかに必死で工面すれば出せない価格じゃないかもしれない。ここはひとつ、いったんお店を離れて作戦会議だな。
中野ブロードウェイの雄「ジャックロード」には黒ダイアルの6265が2本
1982年製。文字盤はオリジナルのビッグデイトナ。ケースはほとんどノンポリ状態で、インデックスの夜光落ちもなく、ダイアル&針ともバランスが良い。プッシャーは初期型の溝無しタイプ。Cal.727。1040万円。
1979年製。通称スモールデイトナと呼ばれるデイトナロゴが小さい交換用文字盤を装着。針も新夜光に変わっているがこっちのほうが実用的かも。全体的にもいい雰囲気だ。プッシャーは溝有り。Cal.727。778万円。
対応してくださったのはヴィンテージロレックスに造詣の深い高岡陽さん。現在の同店はどちらかといえば自動巻き以降のデイトナに強く、手巻きの取り扱いは年間10本ほど。
1966年製。ポール・ニューマン本人もつけた、通称"赤巻き"と呼ばれる白文字盤のポール。夜光については断定できないが、それ以外はほぼオリジナルコンディションを保っているそうだ。プレスは71年製。2980万円。
1965年製。第1世代と同じムーブを積みながら、第3世代と同様にねじ込み式リュウズでオイスター化を図っており、第3世代のプロトとか2.5世代とも呼ばれるRef.6240。生産数が少なく非常にレアだ。1610万円。
パテック、AP、ランゲからなる雲上系5ブランドから、ロレックス、オメガ、IWCといった実用高級ブランドまで幅広く在庫。永久カレンダーやトゥールビヨンなどの複雑系も得意だ。
住:東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
TEL:0120-972-516
営:11:30〜19:00
休:無
中野最安値に加えて幻のソロも在庫していた「グッドウォッチ」
1967年製。3ライン表記の最終型。デイトナロゴが大きくプリントされるため通称"ジャンボ"と呼ばれている。ケースのエッジのビシッとした立ち程度は非常に良好だ。スイスリベットブレスも付属。Cal.722。538万円。
ヴィンテージのロレックス&チューダー専門店。店内には純正ブレスやダイアルなどの希少なパーツも豊富に取り揃えており、ディープなロレファンの駆け込み寺的存在でもある。