ジョコヴィッチ選手、ビザを再び取り消しに 豪政府

Novak Djokovic

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ノヴァク・ジョコヴィッチ選手

オーストラリア政府は14日夕、男子テニスのノヴァク・ジョコヴィッチ選手(34)の査証(ビザ)を再び取り消した。同選手は新型コロナウイルスのワクチン未接種のまま、同国にとどまる権利があると主張していた。

ビザ取り消しは、アレックス・ホーク移民担当相の決定。ジョコヴィッチ選手は国外退去となる。

ただ、ジョコヴィッチ選手が裁判所に異議を申し立てることは可能で、オーストラリアへの滞在が認められる場合もある。

同選手は15日に入管当局者と会う予定。14日夜は移民を収容するホテルで過ごすことになるとの見方も出ていたが、そうならない見通し。

男子世界ランキング1位のジョコヴィッチ選手は、17日開幕の全豪オープン出場のため、オーストラリア入りしている。

ワクチン未接種のジョコヴィッチ選手の入国をめぐっては、オーストラリアで国民の強い反発が起きていた。同国では、新型ウイルス対策のロックダウンが長引く中、人々が厳しい制限を受けながら暮らしている。

3年間ビザ取得禁止か

ホーク移民担当相は声明で、「私は今日、権限を行使し(中略)ノヴァク・ジョコヴィッチ氏が保有するビザを、保健衛生と良好な秩序のために取り消した。そうすることが公共の利益にかなうと判断した」と述べた。

この決定により、ジョコヴィッチ選手は3年間、オーストラリアのビザを新たに取得することが禁止される可能性が高い。

スコット・モリソン首相は、「慎重に考慮した結果として、ジョコヴィッチのビザが保健衛生と良好な秩序のために取り消されたと理解している」と述べた。

「オーストラリア国民はパンデミックの間、多くの犠牲を払ってきた。それらの犠牲の代償を守る決定を、国民が期待するのはもっともだ。移民担当大臣は今日、今回の決定で、まさにそれを実現した」

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ジョコヴィッチ選手は6日にメルボルンの空港に到着して間もなく、ビザを取り消された。オーストラリア入管当局は、同選手がワクチン免除者に該当することを示す「適切な証拠を提示できなかった」と説明した。

ジョコヴィッチ選手は拘束され、移民管理用のホテルに数日間収容された。同選手側はビザ取り消しに異議を申し立て、裁判所は10日、これを認めてビザの効力を回復させた。入管当局の手続きに誤りがあったと判断し、同選手を解放した。

しかしホーク移民担当相は14日夕、移民法に基づく別の権限を使い、ジョコヴィッチ選手のビザを再び取り消した。

同法は移民担当相に、「豪コミュニティーの保健衛生、安全、良好な秩序」にとってリスクになりうると判断した人物を、国外退去させる権限を与えている。

隔離ルール違反と申告誤り

ジョコヴィッチ選手は12日、セルビアで先月、新型ウイルス検査で陽性と判定された後、隔離ルールを破って人と会っていたと認めた

また、オーストラリア入国の際、渡航書類の記入に誤りがあったことも認めた。入国前14日間の渡航歴はないと申告したが、実際にはスペインを訪れていた。

ジョコヴィッチ選手は誤記について、代理人がチェック印を入れる欄を間違ったとし、「事務的なミス」だったと説明。「意図的ではない」と主張した。

ジョコヴィッチ選手は全豪オープン男子シングルスで、最多9回の優勝をしている。今大会を制すれば、4大大会(グランドスラム)のタイトル獲得が通算21回になり、男子選手としての最多記録を樹立する。

13日に発表された男子シングルスの組み合わせ表では、第1シードとなっている

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ジョコヴィッチ選手のビザ取り消しと収容、何が起きている?