米企業や州、追加接種も義務づけ 旧Facebookなど
【ニューヨーク=山内菜穂子】米国の企業や地方政府の間で新型コロナワクチンの追加接種(ブースター接種)を義務づける動きが相次いでいる。新たな変異型「オミクロン型」がまん延し、1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)は70万人を超える。社会経済活動を維持するには追加接種が不可欠との認識が広がりつつある。
米メタ(旧フェイスブック)は11日、出勤する従業員に追加接種を義務づけると明らかにした。あわせて当初は1月末をめざしていたオフィスの再開時期も3月28日に延期した。
同社は「オミクロン型の感染状況を注視し、すべての従業員の安全を最優先にオフィスの再開計画を考えている」と説明する。米金融大手ゴールドマン・サックスなども従業員に追加接種を求める方針を決めている。
米国内の新規感染者数は高水準が続いている。米ジョンズ・ホプキンス大のまとめによると、11日の新規感染者数(7日移動平均)は約75万人。4日連続で70万人を超えた。新規死者数(同)も増加傾向にあり、11日は約1700人だった。1週間前に比べて4割増えた。
米疾病対策センター(CDC)によると、追加接種を終えた人は11日時点で全人口の36.7%。1日あたりの追加接種回数は昨年12月をピークに減少している。企業が追加接種の義務づけに踏み切る背景には、オフィス勤務が感染拡大のきっかけになるとの危機感がある。
従業員に追加接種を奨励する企業も増えている。米金融大手バンク・オブ・アメリカは1月から、従業員向けに追加接種を受けられるクリニックを開設した。追加接種を終えた社員1人につき100ドル(約1万1500円)を地元のフードバンクに寄付する計画も打ち出した。
地方政府でも義務づけを進める動きが広がる。東部ニューヨーク州は11日、医療従事者に追加接種を求めることを正式に決めた。医療従事者は追加接種の資格を得てから2週間以内に接種する必要がある。同州は「最新の研究で追加接種はオミクロン型への感染防止や重症化を防ぐ効果を高めると示されている」と説明する。
東部コネティカット州も6日、介護施設と州立病院で働く人に2月11日までに追加接種を受けるように求めた。施設が義務づけに従わなかった場合は罰金を科す方針も打ち出した。西部ニューメキシコ州や同カリフォルニア州も医療従事者などに追加接種を義務づけている。
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