ミャンマーのヒスイ鉱山で地滑り 最大約100人が死亡・行方不明か
ミャンマー北部カチン州のヒスイ鉱山で22日、地滑りが発生し、これまでに少なくとも1人の死亡が確認され、最大100人近くが行方不明になったとみられている。
地滑りは22日午前4時ごろ、カチン州のパカン地区で発生した。
現場のヒスイ鉱山では、救助作業が続けられている。犠牲者の多くは不法労働者だったとみられている。
救助隊員の1人は、「けが人25人を病院に送り、死者1人を発見した」と述べた。また、最大100人ほどが行方不明になった可能性があるとした。
ミャンマーは世界最大のヒスイの原産国。同国のヒスイ鉱山では近年、数多くの事故が発生している。
危険ながれき斜面
今回の地滑りは、露天掘りの鉱山地帯にトラックが大量のがれき類を廃棄し、それがあふれたことが原因と考えられている。
捨てられたがれきは大規模な斜面を形成し、木々のない一帯において、危険個所となっていた。そこそこの高値がつくヒスイのかけらを探し求める労働者は、危うい環境に身を置いていた。
パカン地区ではヒスイの採掘は禁止されている。しかし現地住民らは、この規制に従わないことも多い。同地域は仕事が少なく、新型コロナウイルスのパンデミックで貧困状態が悪化しており、そのことが違反者を増やしている。
ミャンマーでは2月に軍がクーデターを起こして以降、ヒスイ採掘が活発になっている。採掘現場に地雷が仕掛けられていることも珍しくない。
パカン地区のヒスイ鉱山では数日前にも地滑りが発生し、少なくとも10人の非熟練労働者が行方不明となった。
パカン地区では昨年も、鉱山の廃棄物の山が崩れて湖に流れ込み160人以上が死亡する大災害が起こった。死者の大半は移民だった。
ミャンマーでは2018年に、宝石類の採掘に関する新法が成立した。だが、政府による検査はごくわずかで、違法採掘が続いているとの批判が出ている。
軍、麻薬取引、武装グループ、中国ビジネスなどの関係者がヒスイの売買を管理しており、安全で持続可能な採掘の実現を妨げていると、批判的な立場の人々は指摘している。
同国のヒスイ取引は、年間300億ドル(約3兆4250億円)以上の規模とされている。パカン地区には世界最大のヒスイ鉱山がある。