米当局、ファイザーコロナ経口薬の緊急使用を承認 自宅服用可能に

米FDA、ファイザーのコロナ経口薬を認可 初の自宅療法に
12月22日、米ファイザーは同社の新型コロナウイルス経口治療薬が米食品医薬品局(FDA)に認可されたと発表した。初の自宅療法となる。写真は2020年12月撮影(2021年 ロイター/Yves Herman)
[22日 ロイター] - 米食品医薬品局(FDA)は22日、米ファイザーの新型コロナウイルス経口治療薬「パクスロビド」の緊急使用を承認したと発表した。自宅で服用可能な新型コロナの飲み薬が米国で承認されたのは初めてで、急拡大するオミクロン株の新たな対策として期待されている。
FDAによると、軽・中度の症状のある成人および12歳以上の患者(体重40キロ以上)で、重症化リスクのある人が対象となる。
FDAの幹部は声明で「新たな変異株が出現するなど、パンデミック(世界的大流行)の重要な時期において、今回の承認は新型コロナと戦うための新たなツールを提供し、重症化リスクの高い患者に抗ウイルス治療を受けやすくする」と述べた。
ファイザーの臨床試験データによると、パクスロビドは重症化リスクのある患者の入院や死亡の予防で約90%有効。さらに、直近の研究データはオミクロン株に対しても効果がある可能性を示しているという。
ファイザーは米国内で即時出荷を開始する用意があるとし、2022年の製造見通しを治療8000万回分から1億2000万回分に引き上げた。
ホワイトハウスのコロナ対策調整官を務めるジェフ・ザイエンツ氏は、米政府は1月までに治療26万5000回分を調達する予定で、その後数カ月にわたり供給が増える見通しだと述べた。米政府は、発注済みの1000万回分を6カ月以内に確保すると見込んでいる。
ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターのアメシュ・アダルジャ上級研究員は、「パクスロビドの使用承認は大きな節目で、新型コロナを現在よりもはるかに処置可能な感染症にするためにまた一歩前進する」と指摘。
ただ、当面は供給が少ないと見込まれるほか、最適な使用のためには診断をすぐに受ける必要があることが問題だとした。
ファーザーはこれまで、年内に治療18万回分を出荷する用意があるとしている。米政府の治療1000万回分の供給契約では治療当たり価格は530ドル。
FDAによると、パクスロビドは処方箋があれば入手できる。服用は症状が出現してから5日以内かつコロナと診断されてから可能な限り早期に開始する必要があるとした。12時間おきに5日間の服用となる。
ファイザーは、2022年にFDAの正式承認を申請する考えを明らかにした。

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