10月の米求人、1103万件 採用数との差は過去最高
【ワシントン=長沼亜紀】米労働省が8日発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は1103万3000件で、前月から43万1000件増加した。一方、採用数は減っており、求人数と採用数の差は過去最高に達し、労働市場の逼迫が一段と進んだことを示した。
求人件数は7月に次ぐ過去2番目の多さで、5カ月連続で1000万件を超えた。求人率は前月から0.2ポイント上昇の6.9%となり、こちらも7月に次ぐ過去2番目の高さとなった。10月は新型コロナウイルスの新規感染者数が減ったため、宿泊・飲食サービスの求人件数が25万4000件増と大きく増えた。また非耐久財製造業(4万5000件増)、教育サービス(4万2000件増)などの増加も目立った。
しかし、企業が実際に採用できた数は646万4000人で前月から8万2000人減った。採用率は4.4%で前月から横ばいだった。この結果、求人件数と採用数の差は過去最高の456万9000件となり、雇用のミスマッチが広がっている。新規採用ができず、スタッフの空席を埋められない企業が増え、飲食サービス業や製造業では、営業・稼働時間を短縮しているところもある。
一方、自発的離職者数は415万7000人で、過去最高だった前月からは20万5000人減ったものの、依然高水準が続いた。雇用機会が豊富なため、より良い賃金・条件を求めて転職する人が増えている。