首相、法人税控除「中小で最大40%」 賃上げ税制で表明
10万円相当の給付、全額現金も容認
岸田文雄首相は8日、衆院本会議の代表質問で賃上げした企業に適用する優遇税制を「抜本的に強化する」と述べた。具体策として法人税の税額控除率を「大企業で最大30%、中小企業で最大40%、大胆に引き上げる」と正式表明した。
自民党の茂木敏充幹事長への答弁。近くまとめる2022年度与党税制改正大綱に盛り込む。現在大企業向けの控除率は最大20%、中小企業は最大25%となっている。
首相は18歳以下への10万円相当の給付に関し全額現金での対応も認める考えを示した。「(5万円相当は)クーポンを原則検討いただきたいが自治体の実情に応じて現金でも可能とする」と語った。
クーポンの形で支給すると事務費がかさむとの立憲民主党の泉健太代表の指摘に答えた。
首相はガソリンにかかる税金を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除に関し「国、地方の財政に多大な影響がある。凍結解除は適当ではない」と否定した。
新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種前倒しにも言及した。「できるだけ早期に優先度に応じて前倒しの範囲や方法を示したい」と話した。既存のワクチンの新たな変異型「オミクロン型」への効果を見極める意向も明らかにした。
泉氏は中国などを念頭に人権侵害に関わった他国の高官らに制裁を科す「日本版マグニツキー法」制定の必要性を訴えた。首相は「超党派での議論をよく見守り、これまでの日本の人権外交を踏まえて引き続き検討していく」と主張した。
台湾情勢については「台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障はもとより国際社会の安定にとっても重要だ」と指摘。「台湾を巡る問題が平和的に解決されることを期待し関心を持って注視する」と強調した。
10月の衆院選後初の国会論戦で、立民の泉氏が11月末の代表就任後初めて首相への質問に立った。
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