3回目接種の間隔前倒し 例外範囲の拡大模索

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」による感染が国内で確認される中、3回目のワクチン接種の時期が焦点となっている。全国知事会などは2回目から原則8カ月以上としている接種間隔の前倒しを求め、政府もその方針だが、全体的に早めれば供給が追い付かなくなる可能性がある。このため、政府は例外的に6カ月に短縮する対象範囲を拡大することを模索している。(今仲信博)

3回目接種は1日から始まり、今月は医療従事者104万人が対象だ。政府は来年1月には高齢者ら、同3月には職域での追加接種を順次開始するスケジュールを描いている。

2回目からの接種間隔は8カ月以上だが、例外的にクラスター(感染者集団)が発生した医療機関や高齢者施設の利用者、医療従事者らを対象に、6カ月に短縮できるとしている。

こうした中、感染力がデルタ株を上回るともされるオミクロン株の出現で、前倒しを要望する声は強まった。

日本医師会(日医)と全国知事会が2日に行った意見交換会で、全国知事会の平井伸治会長は「例外的措置を弾力的に緩和してもらいながら、真にオミクロン株に立ち向かえる体制づくりを急ぎたい」と強調。日医と接種間隔を短縮すべきだとの認識で一致した。

ただ、追加接種の前倒しは、ワクチンの供給量の問題に直結する。

新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を受ける看護師=1日、熊本県八代市の熊本総合病院
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を受ける看護師=1日、熊本県八代市の熊本総合病院

政府は12月と来年1月分として約410万回分のワクチンを各自治体に配送済みで、同2、3月分として約3700万回分をすでに確保している。しかし、これは8カ月の接種間隔を想定したもので、全体的に前倒しに踏み切れば、供給不足に陥りかねない。スケジュールの変更による自治体の混乱も予想される。

政府は来年分の一部として、米ファイザー製1億2千万回分を契約済みだが、後藤茂之厚生労働相は「平均的ペースで入手する契約」と説明しており、まとめて入手できるわけではない。

厚労省幹部は「さらなる確保に向けて関係者への働きかけを強めている」と語るが、世界的にワクチンのニーズが高まる中、日本は感染状況が落ち着いており、このことが調達を困難にさせているとの見方もある。

十分な供給量の確保が見込めない限り、「原則」自体を早める形で接種間隔を変更することは困難とみられ、より広範に重症化リスクの高い人に対し、市町村の判断で前倒しを認める案などが浮上している。

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