メルケル独首相、退任式に青春時代のヒット曲を選ぶ

メルケル独首相、退任式に青春時代のヒット曲を選ぶ

在任16年を経て来週退任する予定のアンゲラ・メルケル独首相の退任式が2日夜、独国防省で行われた。

首相や大統領などが退任する際、本人が選んだ曲を軍の音楽隊が演奏するのが慣例。

旧東ドイツで育ち、牧師の娘でもあるメルケル氏は、18世紀のキリスト教の聖歌のほか、戦後ドイツの人気女優・歌手ヒルデガルト・クネフの「私には赤いバラが雨のように」、さらには、東ドイツ出身の人気パンクロック歌手ニナ・ハーゲンが東独時代にヒットさせたポップスの曲を選んだ。

ニナ・ハーゲンの曲は1974年の「カラーフィルムを忘れたのね」。恋人がカメラにカラーフィルムを入れるのを忘れたため、旅行の記念写真が白黒になってしまったと怒る若い女性の、アップテンポの曲は、当時の東ドイツの物不足の状況を描いたとされる。多くの東独出身者には、「この国がどれほど美しかったか誰も信じてくれない」という歌詞が、特に印象に深く残っているという。

式典前の記者会見でこの曲を選んだ理由を質問されたメルケル氏は、「この曲は青春時代のハイライトだった」と答えた。さらに、「自分の選挙区だった地域が曲の舞台になっている」ため、「すべてがぴったりはまる」のだと説明した。

ドイツ社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ氏は8日、新首相となる予定。