官製談合で地検が市課長の起訴取り消し…元市議の供述に疑義、立証困難と判断

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 高知地検は3日、高知県香南市発注工事の入札情報を漏らしたとして、官製談合防止法違反などで起訴された市住宅管財課長(58)(起訴休職中)について、すべての起訴を取り消したと発表した。関与を認めた元市議の供述に疑義が生じ、有罪の立証が困難になったと判断した。起訴の取り消しは異例で、地検は課長への謝罪について「適切に対応する」としている。

 課長は市営住宅解体工事の入札前の昨年12月、当時市議だった志磨村公夫被告(61)に最低制限価格に近い金額を教え、市内の建設会社元社長の北代達也被告(53)に落札させたとして、今年9月に官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の両容疑で県警に逮捕された。

 課長は一貫して容疑を否認。いったん釈放されたが、同じ容疑で地検に逮捕され、両被告とともに起訴されていた。

 地検や県警は「課長から金額を教えてもらった」とする志磨村被告の供述などを立証の柱としていた。しかし、志磨村被告が供述を翻し、課長の関与を否定。課長は11月12日に釈放された。

 地検の上田敏晴次席検事は3日、報道陣の取材に「起訴の維持は難しいと考えた」と述べた一方、「具体的な説明は控える」などと繰り返した。関係者によると、志磨村被告の供述以外の証拠では有罪に導くのが困難になったという。地検は志磨村、北代両被告の起訴は維持している。

 課長の妻は3日、読売新聞の取材に、課長と2人で「良かったね」と話したと明かし、「これまでの取り調べで心を傷つけられた。こんなことはあってはならない」と語った。

 弁護人の市川耕士弁護士は「違法捜査が明らかになった。検察には起訴取り消しの経緯や理由を説明する責任がある」とコメントした。

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