ドイツ、ワクチン未接種者の社会行動を大幅に制限へ

A man walks past a placard which indicates the so-called 2G rule (vaccinated or recovered from Covid-19) for the Christmas market in the city of Dortmund, western Germany on December 1, 2021.

画像提供, AFP

画像説明, ドイツの一部の州で実施されている「2G」と呼ばれるルールが、近く全国に拡大される。2Gでは、ワクチン接種者(geimpft)と6カ月以内に感染から回復した人(genesen)以外の行動が制限される

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2日、連邦および地方政府が新型コロナウイルス対策として、ワクチン未接種者の社会行動を大幅に制限することで合意したと発表した。

退任間近のメルケル首相は、制限が広範囲に及ぶ今回の措置について、「国家の結束」を示す行為だと説明した。

数週間後から、レストラン、映画館、レジャー施設、多くの商店は、ワクチンを接種したか、新型ウイルスに感染して最近回復した人だけが入場できるようになる。

また、ワクチン接種は来年2月までに義務化されると、メルケル氏は述べた。

「第4波を打ち砕けていない」

ドイツは感染の第4波に見舞われており、影響はこれまでで最も深刻になっている。直近の24時間の死者は388人に上った。

オミクロン変異株の感染拡大も懸念されている。欧州連合(EU)保健当局は、今後数カ月で、感染の大半はオミクロン株が原因になると警告を発している。

メルケル氏は、国内の病院が逼迫(ひっぱく)状態にあり、治療のために患者を他の病院に移送しなければならなくなっていると説明。

「第4波を打ち砕かなくてはならないが、まだ達成できていない」と話した。

また、「現状を考えると、ワクチン接種を義務化するのは適切だと思う」と表明。ただ、連邦議会の承認が必要になると述べた。

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「2G」対策を全国に拡大

8日に次期首相に就任予定のオラフ・ショルツ財務相は、すでに今回の措置への支持を表明している。

ドイツの一部の州ではすでに、「6カ月以内の回復者」と「ワクチン接種者」の頭文字をとった「2G」対策が取られているが、これが全国に拡大されることになる。

連邦政府と16州の政府は、以下について合意した。

  • ワクチン未接種者は、家族とそれ以外の2人とだけ会うことができる
  • 人口10万人あたり350人以上の感染が過去7日間で確認された地域では、クラブは閉鎖となる。現在の国の基準は10万人あたり400人以上
  • クリスマスまでに最大3000万回のワクチン接種を実施する。これには1回目、2回目、ブースターの接種が含まれる
  • サッカーのブンデスリーガを含めたすべての屋外イベントで、観客は1万5000人を上限とし、2Gルールを適用する
  • 大みそかの花火は禁止する

接種率は7割未満

ドイツはワクチン接種を進めており、1日には100万人近くが接種を受けた。だが接種率は国民の68.7%にとどまっており、西欧では比較的低い。

ベルリンのミヒャエル・ミュラー市長は、新型ウイルス感染者の大多数はワクチン未接種者だと述べた。

欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、ヨーロッパではこれまで、オミクロン変異株の感染者が15カ国で計79人報告されている。

それらの感染者の多くは、アフリカ諸国に渡航しており、アフリカとヨーロッパ間の航空便に搭乗していた人も含まれている。ECDCの調べはイギリスを対象としていない。