鷹に衝撃が走った。ソフトバンクのニック・マルティネス投手(31)が今季限りで退団することが2日、決定的になった。この日NPBから公示された22年の契約保留選手名簿から外れ、自由契約選手として公示された。さらに同日、米メディアでパドレスと契約合意に達したという報道も出た。今季先発で21試合に登板し9勝4敗、防御率1・60と活躍した助っ人右腕の流出は、来季V奪回を期す藤本新体制の大きな痛手だ。

日本ハムから移籍1年目の今季は単年契約。球団は来季以降も戦力として期待しており、残留に向けて交渉していたが、合意に至らなかった模様だ。マルティネスは東京五輪にも出場し、米国代表の銀メダル獲得にも貢献。さらに21試合中20試合でクオリティースタート(QS、6回以上自責3以内)を果たすなど、抜群の安定感を誇った。エース千賀と並ぶ投手陣の柱がいなくなるのは大きな戦力ダウン。球団は早急に代役新外国人投手の獲得調査を進める方向だ。

一方で若手投手陣の競争、底上げにも力を入れる。藤本博史監督(58)は「ピッチングコーチにも話して、先発候補は多めにする予定です」と話しており、今季中継ぎだった田中、大関らを先発に転向させる方針。プラスに考えれば、若手には大きなチャンスが訪れる。藤本監督も目の色を変えた若鷹台頭を願ってやまないだろう。いずれにせよ、実績十分の千賀、石川、東浜に加え、ベテラン和田や今季開幕ローテーションに入った笠谷らも交えた先発陣の再編は不可欠。来季構想の練り直しが迫られる。

◆ニック・マルティネス 1990年8月5日生まれ、米フロリダ州マイアミ出身。フォーダム大を経て、11年ドラフト18巡目でレンジャーズ入り。14年メジャーデビュー。18年に日本ハム入りし、10勝を挙げるが、19年は右腕などの故障で1軍登板はなく、20年も2勝に終わり自由契約となった。今年1月末にソフトバンク入り。21試合で9勝4敗、防御率1・60。東京五輪では米国代表。185センチ、90キロ。右投げ左打ち。