52試合に及ぶ長いシーズンで稲見萌寧(22=都築電気)が賞金女王に輝いた。 (21=富士通)の壮絶な追い上げと、終盤戦のデッドヒート。2人の勝敗を分けたポイントをツアー7勝の佐伯三貴氏(37)が解説する。

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稲見さんが長いシーズンの賞金女王になりましたが、ポイントは(1)古江さんの追い上げ(2)伊藤園レディースでの9勝目(3)最後の粘り、にあると思います。

古江さんの残り2カ月の追い上げはすごかった。稲見さんもそこまで僅差になるとは思っていなかったはずです。そこで、稲見さんの気持ちにもう1度火が付いたんだと思います。

最終戦で賞金女王は確定しましたが、私は伊藤園での優勝が大きかったと思います。そこでほぼ決まったと。腰痛に悩み、口では「3日間完走できれば」と言っていましたが、プレーを見ていたら完走より優勝ねらい。あそこで勝てる強さが稲見さんの真骨頂です。

そして最終日。調子が悪いなりに、最終的にトップ10に入ってくるところは、やっぱり力があるなと感じました。古江さんは第1日にビッグスコアを出しましたが、そこからうまく3日間伸ばせなかった。古江さんは稲見さんの追い上げで、ハーフターンのときに優勝しかないと思ったのがプレッシャーになったのだと思います。

今シーズンの賞金女王は稲見さんでツアーでの活躍が評価されるメルセデスランキングは古江さんが1位になって、新しい形が生まれたシーズンになったと思いました。

三ケ島さんは先週、最終日最終組で崩れて勝てなかった。ずっといいところにいて勝てなかった彼女が、最後のメジャーで初勝利を挙げたことも、稲見さん、古江さんと三者三様のドラマがあってとてもすばらしい大会になったと思います。今季を振り返ると、日本人選手が強かったという印象があります。これまでのように韓国の選手が勝てなくなった。若い選手の台頭とベテランの頑張りでレベルも高くなったいると思います。稲見さんはここからが勝負。このシーズンのすばらしいプレーから、来季にどういう目標を立ててくるのか、そこは見ものだと思います。古江さんも米国挑戦で、視野を広げるチャンスだと思います。2人の活躍も含め、来年も見応えのあるシーズンが期待できると思います。