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【ニューヨーク=小林泰明】米フェイスブック(FB)は28日、同日付で社名を「Meta(メタ)」に変更したと発表した。FBはSNSとして巨大になり、運営体制を批判されるケースが増えている。負のイメージを一新し、仮想現実(VR)技術などを使った次世代の交流サービスに力を注ぐ方針だ。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は28日、オンラインで開かれた開発者向けのイベントで、「メタ」はギリシャ語に由来し、「向こう側」を意味すると説明した。「メタバース」と呼ぶデジタル空間を使った新たな交流サービスの構築を優先するため、社名を変更すると述べた。
ザッカーバーグ氏は「FBはソーシャルメディアの象徴的なブランドだが、それだけでは私たちの活動すべてを網羅できない」として、FBを数ある事業の一つと位置付ける考えを強調した。
FBは、ネット上の仮想空間で自分の分身(アバター)を使って友達と遊んだり、仕事をしたりする交流が活発になるとみて、VRや拡張現実(AR)分野に積極的に投資し、新しいサービス基盤を作ろうとしている。次世代サービス構築の布石として、写真や動画を撮影できる「レイバン」ブランドのスマートグラスや、ゴーグル型のVR端末「オキュラス」を販売してきた。
一方、FBは傘下サービスの利用者が約36億人に達した。言論空間で大きな影響力を持つようになり、政府などから運営のあり方が問題視されるようになった。2018年には個人情報流出問題が発覚し、激しく批判された。最近でも元社員が「安全性よりも利益を優先している」などと内部告発し、米議会やメディアが企業体質を追及する動きが広がっている。
多くの批判にさらされた過去数年間について、ザッカーバーグ氏は声明で「我々は様々なことを学んだ」と述べた。