いろいろすごいレンズでした。
タムロンが「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)」を10月28日に発売します。フルサイズ対応Eマウント用としては初めての開放F2で始まるズームレンズです。大三元や一部の単焦点よりもボカせてしまう、ということ。
焦点距離も35-150mmと独特ながら高倍率で、準広角から望遠までをカバー。希望小売価格は22万9,900円。この時点でもうなんだかすごそう。
気になったのでお借りして使ってみましたが、画角も表現も幅が広く、期待通りの高画質。大型のレンズなんですが、テンポよく撮れるからかそこまで重いとは感じませんでした。撮影に没頭できるたのしいレンズという印象が強く残っています。
とにかく撮影の幅が広い
35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)はとにかく撮影の幅が広いのが特徴です。
まず、開放F値は35-39mmでF2.0、40-59mmでF2.2、60-79mmでF2.5、80-150mmでF2.8。F2.0が使える35mm付近だと画面全体がとろけます。
以下、作例はJPG撮って出しを横1280にリサイズしたものです。
35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)では開放で撮った写真がふだんよりかなり多かったです。ズームで被写体を的確に切り取りやすく、かつそうできたときは大きくボカしたほうがいい感じに見えるから、でしょう。準広角域から望遠域に達する高倍率のおかげで、開放F値をより活かせる形です。
焦点距離35-150mmは、本当にさまざまな距離感のものを撮影可能です。遠くの百名山をジャストサイズの背景にあれこれ撮れますし、猿が樹上に隠れているのを発見して咄嗟に撮影できるのは150mmが使えるからこそ。奥行きのある場所で圧縮効果を効かせて遊ぶのもたのしいです。テーブルフォトも(人目を気にしなければ)いい感じで撮れます。
テンポよく、綺麗に撮れる
画質もすばらしいです。隙や粗は感じません。
ふだん使っているソニー純正レンズがシャープでヌケのいい写真が撮れる感じだとするなら、全体的によりしっとり、上品な感じの写真が出てくるように思いました。公式サイトでまさしくそう作ったと書かれていましたが、人物撮影に向いた描写だと思います。
AFも相当に高速です。純正レンズとあまり変わらない感覚で使えました。
個人的には35mmでいきなり撮れるのも良かったです。35mmは見たままな感じに写るので、35mm始まりだとぱっといい感じに撮りやすいです(24mm始まりだとだいたいズームする必要あり)。
35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)は、高水準な撮影性能×高倍率ズームのかけ合わせで、1本でもテンポよく、かつ非常に美しく撮れるレンズとなっています。
原理上、優れた画質と画角を両立したレンズは大型になります。35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)もまたそうで、質量は1165g、全長もご覧の通り。付属の花形レンズフードもかさばります。お散歩レンズにするのはさすがに厳しく、「撮影に出かけるためのレンズ」という感じ。
このレンズの恩恵が大きいのは、画質や絵作りにはこだわるけど、広角と望遠はなくてもOKという状況で撮影することが多い人でしょう。大三元レンズ2本(24-70mm F2.8と70-200mm F2.8)を35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)1本に置き換えられるのですから。
尖ったスペックでありながら、完成度は極めて高く、サードパーティとしてレンズを作り続けてきたタムロンならではという感じ。気になった人はぜひ一度店頭などで触れてみてください。「別に広角なくてもよくない?」「ポートレート用にいいレンズが欲しい」という人は特に。
Source: タムロン