ガンバ大阪の来季監督に、クラブOBで大分の片野坂知宏監督(50)の就任が有力となったことが23日、分かった。5月に宮本前監督を成績不振で解任したG大阪は、強化責任者だった松波監督に後任を託したが下位に低迷。24年パリ五輪代表監督候補にも挙がるOBに白羽の矢を立てた。

大分を率いて今季で6年目の片野坂監督は、最初の3年間でJ3からJ1に導き、J2とJ1でそれぞれ優秀監督賞も受賞。自分たちでボールを保持する、攻撃的な3-4-3システムを定着させた。

何度も主力を引き抜かれながら、限られた戦力を底上げして地方クラブの組織を活性化。DF岩田(横浜)ら主力が大量退団した今季、初めてJ1残留争いに巻き込まれたが、その手腕は高く評価される。

G大阪には選手時代を含めて計6年半、在籍した。コーチとして西野監督時代に人心掌握術を学び、長谷川監督時代の14年にはヘッドコーチとして3冠を獲得。広島森保監督の下でコーチを務めた12、13年からJ1は3年連続で優勝をつかんだ。志向する攻撃的なスタイル、秀でたコミュニケーション能力などG大阪の求める条件と合致する。

関係者によると現在、片野坂監督を含めた複数の後任候補がいるという。その中で同監督の評価は最上位とみられ、今後予定される交渉を経て7年ぶりの古巣復帰となる可能性が高い。大分と同様にJ1残留が今季の目標になったG大阪だが、22年は片野坂体制で常勝軍団復活を目指す。

◆片野坂知宏(かたのさか・ともひろ)1971年(昭46)4月18日、鹿児島市生まれ。鹿児島実から広島の前身マツダに入団。広島ではDFで活躍し、柏、大分、G大阪、仙台を経て大分で03年限りで引退。J1通算212試合12得点。コーチでは07~09年にG大阪、10~13年に広島、14、15年にG大阪で務め、16年から大分監督に。J1では通算3年間でここまで30勝28分け43敗。