WeWorkがSPAC上場、時価総額1兆円 SBGが再建
【ニューヨーク=大島有美子】米シェアオフィス大手で、ソフトバンクグループ(SBG)が筆頭株主のウィーワークが21日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。特別買収目的会社(SPAC)との合併を活用した。創業者のアダム・ニューマン氏の急拡大路線で経営に行き詰まり、2019年9月に上場を断念。SBGの支援でリストラし、2年たっての上場となった。
初日は11ドル78セントで取引を終えた。合併したSPACの前日の終値(10ドル38セント)を13%上回った。
終値から計算した時価総額は約90億ドル(約1兆円)。経営難が表面化する前のピーク時の評価額(470億ドル)の8割ほど低い水準となる。SBG主導で経営陣の刷新やリストラに取り組んだ。不動産業界に明るいサンディープ・マサラニ氏を最高経営責任者(CEO)に据え、不採算のリース契約の見直しなどを急いだ。
21日の取引開始前に米CNBCの取材に応じたウィーワーク会長でSBG副社長を兼務するマルセロ・クラウレ氏は「ウィーワークは倒産の淵にあった。ほぼゼロまで落ちた企業価値を2年間で80億、90億ドルの水準まで引き上げた」と述べ、リストラの成果を強調した。
ただ再建途中に新型コロナウイルス下に入ったことで売り上げが伸び悩み、業績は厳しいままだ。21年4~6月期の最終損益は9億2300万ドルの赤字だった。9月まで月次売上高は5カ月連続で前月比で増加しているが、利用客の呼び戻しが焦点となる。
ウィーワークは10年設立。創業者のニューマン氏がCEOだった19年も上場を目指していた。ただ世界でシェアオフィス事業を急拡大させて赤字続きだったほか、企業統治に関する市場の懸念が強まり評価額が急落。19年9月に上場を取り下げた。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)