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韓国、初の国産ロケット打ち上げ 軌道投入には失敗

1.5トン衛星を高度700キロに到達

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【ソウル=細川幸太郎】韓国初の国産ロケットが21日に打ち上げられた。官民一体で開発し、1.5トン級の人工衛星を高度700キロまで運ぶのには成功したものの、計画軌道には乗せられなかった。韓国政府は2022年5月にも2号機を打ち上げる予定で、失敗の原因究明と改善策を急ぐ。

国産ロケット「ヌリ号」を午後5時に、韓国南西部の全羅南道高興の羅老宇宙センターから南南東の方向に打ち上げた。ロケットは当初計画通り約16分で高度700キロに到達した。ただ、3段式ロケットの3つ目のエンジン燃焼時間がわずかに短く、軌道上で衛星を安定させられなかったという。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は記者会見で「残念ながら、完璧に目標を達成することはできなかった」とコメント。来年に向けて「今回の打ち上げで宇宙に近づいた。不足部分を点検し補足すれば成功を収められる」と力を込めた。

韓国の古語で「世界」の意味を持つヌリ号は、全長47.2メートルで重さ200トンの3段式ロケット。10年に開発が始まり、韓国政府は総額1兆9572億ウォン(約1900億円)の予算を投じてきた。

ヌリ号は韓国企業約300社の技術を結集した初めての純国産ロケット。政府機関の韓国航空宇宙研究院が事業主体となり、防衛装備大手の韓国航空宇宙産業(KAI)が設計と製作を担当。エンジンは財閥系のハンファ・エアロスペースが手掛けた。

日本の基幹ロケット「H2A」は成功率97.6%を維持する。米国や欧州なども100回以上の打ち上げ実績を持つロケットを運用している。

一方で、ロケット開発は防衛力強化と表裏一体だ。打ち上げ技術はミサイルなど軍事転用可能で、衛星も偵察衛星などに利用できることから北朝鮮などは韓国の宇宙開発推進に警戒を強めている。

韓国はこれまで、米国との協定で射程800キロメートルを超える中長距離ミサイルの開発を制限されていた。5月の米韓首脳会談で同指針の撤廃が決まったことを受けて、韓国政府は米国に安全保障を依存しない「自主国防」を掲げて、防衛力強化を打ち出している。

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