岸田文雄首相は14日、官邸で新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長と首相就任後初めて面会し、コロナ対策の全体像を記したペーパーを見せた。そこには、病床が逼迫(ひっぱく)した今夏の「第5波」の反省を踏まえた、数々の病床確保策が書かれていた。
「全体像に書かれていることを実行することが求められます。リーダーシップを発揮してください」
尾身氏はそう激励した。翌日、首相はコロナ対策本部で「感染力が3倍になった場合は、国の責任で一般医療の制限のもと緊急的な病床を確保する。感染拡大時の万全の備えを用意しつつ、日常生活の回復にも取り組む」と語った。
コロナと共存しながら社会経済活動を進める「ウィズコロナ」か、徹底的に封じ込めることに軸足を置く「ゼロコロナ」か-。自民党の考え方は前者だ。
冬に向けて「第6波」の到来が予想されるが、ワクチンが行き渡りつつあり、軽症者ら向けの経口薬(飲み薬)の実用化も視野に入る中、政府は新規感染者数より重症者数を重視する方針。新規感染者数が増えても、重症者らが入院できる体制を整えておけば、経済を回し続けることができると考えている。