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体操の世界選手権は第3日の20日、北九州市立総合体育館で男子予選が行われ、第3班で鉄棒に登場した内村航平(ジョイカル)が、生まれ故郷のファンの前で演技を披露した。細かいミスが重なって得点は14・300にとどまったものの、元世界王者の誇りに満ちた演技だった。
冒頭に組み込んだH難度の手放し技「ブレトシュナイダー」は、バーをつかんだ後に大きく肘が曲がり、フィニッシュの「後方伸身2回宙返り2回ひねり」は着地で前に動いた。しかし、落下で予選敗退となった東京五輪、着地で転倒した全日本シニア選手権に比べれば、十分に内村の魅力をアピールできる内容だった。
「意地を見せた。最後までやり切ることが、演技として出せた」
五輪後、全身の関節痛に悩まされた。「完璧に演技できるコンディションではない」。それでも、世界選手権に向けて最善を尽くしてきた。五輪での失敗は、自分でも気づかないうちに蓄積していた腰の疲労が一因だったと分析。今大会3日前の本会場練習では、本番を想定して全ての技を続ける「通し練習」は封印し、演技を分割したり、順番を入れ替えたりしながら調整した。これまでにない取り組み方だった。
大会前、「コロナ下で、こういった舞台を用意していただける。感謝の気持ちを込めて演技したい」と語っていた。その姿を目の前で見た観客の思いも、同じだったはずだ。(増田剛士)