全国111活火山はどこに 噴火の種類や警報、警戒レベルとは?
日本にある111の活火山、どこの場所にあるのか?マグマ噴火・水蒸気噴火・マグマ水蒸気噴火といった噴火の種類と被害の様相は。噴火速報や噴火警報、噴火警戒レベルとは?火山に近づく際、それぞれの特徴やリスクを知って日頃から備えておくことが大切です。
火山関連ニュースや解説で放送された内容をまとめた記事です
目次
活火山とは
気象庁によりますと、活火山とは「おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動がある火山」と定義されています。北海道から沖縄まで111あり、島々や海底火山も含まれますが、すぐ近くに人が住んでいるところもあります。
噴火の種類
噴火には大きく分けて「マグマ噴火」「水蒸気噴火」「マグマ水蒸気噴火」の3つの種類があります。
①マグマ噴火
地下のマグマそのものが噴き出る噴火です。火山によってマグマを噴水のように噴きあげたり、溶岩流として流しだしたりする噴火と、マグマそのものが爆発によって粉々になって噴煙として激しく噴き上げる噴火があります。マグマは高温なので、薄暗くなると噴煙も赤く見えます。地下のマグマそのものなので大規模噴火になることがあります。
②水蒸気噴火
マグマそのものではなく、マグマによって熱せられた地下水が、水蒸気となって膨張し、破壊した周囲の岩石とともに噴き上がる噴火です。水蒸気の量が多いと白っぽい灰色の噴煙になることがあります。事前に地震や大きな地殻変動などを伴わず予兆をつかみにくいことがあります。
③マグマ水蒸気噴火
地下水や浅い海の海水が高温のマグマに直接触れて急激に水蒸気になって膨張する際、マグマを粉々にして、黒い噴煙を激しく噴き上げる噴火です。日本では島々や海岸に近い火山が多いこともあり、たびたび発生しています。爆発力は強く、海岸付近で発生してクレーターのような跡を残すこともあります。
噴火災害の種類
噴火がもたらす災害としては大きく分けて「火山灰」「噴石」「火砕流」「溶岩流」「土石流」「地震・津波」があります。
①火山灰
噴火が発生すると周辺や風下を中心に火山灰が降ります。農作物や交通に影響が出るほか、降る量によっては家屋の損傷や人体への影響、ライフラインなどにも影響が出ます。
②噴石
噴火によって大小さまざまな岩石が吹き飛ばされることがあります。火口付近に残っていた過去の岩石や、火口から噴き出たマグマそのものが冷え固まりながら落下することもあります。大きいものは軽トラックほどの大きさがあり甚大な被害が出るほか、小さな噴石であっても直撃すれば人の命を脅かすおそれがあります。
③火砕流
高温の火山ガスや火山灰、岩石が一気に山を流れ下る現象です。一度上空に噴き上がった噴煙が崩れるように流れ下る場合や火口付近に出来た「溶岩ドーム」と呼ばれる高温の岩石が崩れながら流れ下る場合などがあります。温度は数百度に達し、速度は100キロを超えることもあるため、巻き込まれると命が危険にさらされます。あまり火山灰や岩石を含まないものは「火砕サージ」とよばれ、海上であってもはうように高速で流れることもあります。
再生時間 0:11
④溶岩流
地表にあふれ出たマグマそのものが流れていく現象です。速度は遅く、逃げる時間はありますが、温度は1,000度に達することもあります。溶岩が流れた場所では建物や植物などが破壊されて地形が変わり、長期間住むことすら出来なくなってしまいます。
⑤土石流
噴火によって火山灰や噴石が堆積した場所で雨が降ったり、せき止められた川の水が再び流れたりすると土石流が発生します。火山灰が広範囲に流れ下る「泥流」もあり、噴火によって山の雪がとけて一気に発生することもあります。
⑥地震・津波
活動が活発になると、火山周辺では地震が引き起こされることがあります。桜島では大正時代の噴火に伴う地震で家屋が倒壊し犠牲者が出たこともあります。またこの地震によって津波が起きることもあるほか、海底で噴火したことで海水が盛り上がって津波が発生することもあります。
⑦そのほか
このほかにも火山では、人体に有害な「火山ガス」、爆発的な噴火に伴っておきる空気の振動「空振(くうしん)」のほか、火山自体が崩れてしまい周辺に甚大な被害をもたらす「山体崩壊」などもあり、注意が必要です。
火山や噴火の情報
気象庁が発表する火山に関する主な情報です。
噴火速報
登山者や周辺の住民に火山が噴火したことをいち早く端的に伝えて命を守る行動を取るよう促す緊急の情報です。噴火速報が発表されたら、登山者は直ちに下山したり避難小屋やシェルター、近くの岩陰に身を隠したりして下さい。発表される情報は極めてシンプルです。
死者行方不明者63人と戦後最悪の火山災害となった2014年9月の御嶽山の噴火を受けて導入されました。
噴火警報と噴火警戒レベル
噴火警報
活動の活発さに応じて登山者や周辺の住民などがどう行動すべきかを示す防災情報です。
大きな噴石や火砕流など命に危険を及ぼす火山現象が予想される場合に「警戒が必要な範囲」を明示して発表されます。
以下の2種類があります。
噴火警戒レベル
この警報にあわせて48の火山では噴火警戒レベルが導入されています。
火山活動の高まりと影響範囲に応じて1から5の段階にレベルが設定されています。
警報と噴火警戒レベルに応じて、火山周辺の自治体は、立ち入り規制や避難の呼びかけを行うことになっています。しかし、警報が発表されていなかったり、レベルが低かったりしても、突然活動が活発化した場合や噴火が始まる場合もあり、最新の情報に注意が必要です。
【2021年12月16日更新】
※レベル4は自治体発表の避難情報変更に伴い「避難準備」から「高齢者等避難」に変わりました。
高齢者などは早めの避難を、そのほかの人は避難の準備を進めるよう呼びかける情報です。
リスクを知るには?
火山のリスクの情報は、自治体が公表しているハザードマップや気象庁のホームページなどで確認することが出来ます。
<ハザードマップ>
「富士山火山防災対策協議会」各県の資料を詳しく(※NHKサイトを離れます)自治体などが公表しているハザードマップでは、過去に発生した噴火や地質調査を参考に、火砕流や噴石、溶岩流や土石流など具体的なリスクが地図上に示されています。
気象庁の「火山登山者向けの情報提供ページ」では、各地の火山の警報の状況のほか、噴火警戒レベルを知ることが出来ます。
さらに各地の火山ごとに最新の観測結果の情報も見ることが出来ます。
「火山がいつ噴火するか」は予測が難しいこともあり、火山に立ち入る場合はこうした情報を参考にして安全を心がけてください。
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