サイエンス

「犬サイズの巨大サソリ」が4億年以上前の古代の海を歩いていたことが判明


サソリというと、たいていの人は長さが数センチ、大きくても10センチ程度のものを思い浮かべます。しかし、新たに発表された新種の化石により、今から4億年以上前の地球の海には体長が1メートルにもなるウミサソリが、これまで考えられていたよりも広い範囲に生息していたことが分かりました。

First mixopterid eurypterids (Arthropoda: Chelicerata) from the Lower Silurian of South China - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095927321005004

【EurekAlert】Mixopterid found in China for the first time----Nanjing Institute of Geology and Palaeontology Chinese Academy of Sciences
http://english.nigpas.cas.cn/ns/RelatedNews/202110/t20211009_284537.html

Fossils: Scary dog-sized SEA SCORPION swam the waters of what is now China 435 million years ago | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10106751/Fossils-Scary-dog-sized-SEA-SCORPION-swam-waters-China-435-million-years-ago.html

ウミサソリとは、今から約4億6730万年前の古生代オルドビス紀に登場し、シルル紀からデボン紀にかけて栄えた後、古生代末期のペルム紀ごろに絶滅したとされる古代の鋏角類(きょうかくるい)です。その中でもハリウデウミサソリ科のグループは、名前の通り針が無数に生えたバスケット状の特殊な腕で獲物を捕食していたとされていますが、これまでは約80年前に発掘された2属4種の化石しか資料がなかったため、その生態や生息域はよく分かっていませんでした。

そんな中、中国科学院南京地質古生物研究所のBo Wang氏らの研究チームが新たに、ハリウデウミサソリ科の新種であるTerropterus xiushanensisを発表しました。属名のTerropterusは「恐怖」を意味するラテン語の接頭辞「terror」と、翼を意味するウミサソリの一般的な接尾辞「pterus」から作られた言葉で、xiushanensisは化石の発掘場所が位置する中国の秀山県(Xiushan)に由来しているとのことです。

以下のうち、左はTerropterus xiushanensisのものとされるホロタイプの化石で、右はその復元図です。


他にも、複数の付属肢(c~e)や関節部(f)、生殖器(g)なども見つかりました。


Terropterus xiushanensisは体長が1メートルほどもあり、特に大きく発達した前足と、前足に生えたとげの独特な配列が特徴です。また、鋭い尾の先端には毒があった可能性もあるとのこと。さらに、見つかった化石が成体のものとは限らないことから、もしこれが幼体の化石だった場合、成体はもっと大きかっただろうと推測されています。

Terropterus xiushanensisが生息していたのは今から4億4380万年前から4億1920万年前で、古代の超大陸であるパンゲア大陸が分裂してできた2大大陸のうちの1つであるゴンドワナ大陸の浅瀬を歩いていたとのこと。この地域の浅瀬からは他の大型の捕食者が見つかっていないことから、Terropterus xiushanensisは頂点に近い捕食者だったとWang教授らは考えています。


また、ゴンドワナ大陸からハリウデウミサソリが見つかったのはこれが初めてで、ハリウデウミサソリの化石としてもこれが最古であることから、今回の発見はハリウデウミサソリの形態的多様性と地理的分布に関する知識を深めるものだと位置づけられています。

Wang氏らは論文の中で「ハリウデウミサソリの地理的な分布は、これまでかなり限られてきました。今後、特にアジアでの研究により、ハリウデウミサソリやほかのウミサソリの地球規模での分布が明らかになるかもしれません」と述べて、今後の研究に意欲をのぞかせました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

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