衆院選で株価上昇 経験則は通用するか 19日公示

第49回衆院選が19日公示されるが、衆院解散・総選挙では株価が上がるという経験則がある。昭和44年以降に実施された衆院選で解散前営業日から投開票前営業日の日経平均株価は16回全てで上昇。原油価格高騰や中国不動産開発会社の経営悪化による景気への下押し懸念が拭えない中、今回も〝選挙期間は買い〟が再現されるのか注目される。

選挙期間中に株高となる理由として考えられるのは、「景気浮揚につながる政策への期待が先行しやすいからだ」(証券会社幹部)という。「海外経済の急変や地政学リスクの顕在化など外的要因がない限り、大きく値崩れはしない」というのが多くの市場関係者の見立てだ。

特に大きな変革への期待が高まる選挙ほど株価の上昇率は高まる傾向にあるようだ。事実、民主党への政権交代につながった平成21年の麻生太郎内閣による解散時の株価上昇率は12・1%で最も高く、自民党が政権復帰した24年の野田佳彦内閣の解散時が10・3%でこれに続く。7・9%で3番目に高い上昇率となったのは構造改革への期待が高まった17年の小泉純一郎内閣の「郵政解散」だった。

今回の解散・総選挙はどうか。支持率低下に歯止めがかからなかった菅義偉前首相が退陣の意向を示した9月3日以降、衆院選での与党の大敗リスクが低下すると市場は好感。株価は連日上昇し、3万円を突破した。

しかし、9月21日には中国の不動産大手「中国恒大集団」のデフォルト(債務不履行)懸念を受け株価が急落。足元では原油価格の高騰で強まる物価上昇圧力が新型コロナウイルス後の景気回復を妨げる懸念も広がる。岸田文雄内閣による解散前日(13日)の日経平均株価終値は2万8140円だった。

三井住友DSアセットマネジメントの山崎慧シニアファンドマネージャーは「株式の売却益などにかかる金融所得課税の引き上げを先送りするなど、岸田首相の株価や景気を意識した政策転換が市場に安心感を与えた」と指摘。「衆院選で与党が過半数の議席を確保する観測が強まれば市場は好感する」とみている。(西村利也)

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