「接種しなければクビ」と脅し・体調不良報告せず契約打ち切られる…職場で過剰反応続々

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 「体調不良をすぐに報告しなかったことを理由に労働契約を打ち切られた」「ワクチンを接種しなければクビにすると脅された」。新型コロナウイルスを巡り、職場などで行き過ぎとも取れる対応が相次いでいる。差別を防ぐために条例を施行する自治体もあり、日本弁護士連合会などは「過剰な措置は人権侵害に当たる恐れもある」として冷静な対応を呼びかけている。(河津佑哉)

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日弁連「人権侵害の恐れ」

コロナウイルス
コロナウイルス

 福岡県の高齢男性は数年前から、県内の病院院長を送迎するハイヤーの運転手を務めてきた。今年1月、寒けを覚えて受診したが、体温は36・5度で、医師も「コロナ感染の兆候はない」と診断。数日間、勤務を続けたが体調不良が続いたため再度受診したところ、医師に「念のため」と勧められたPCR検査で陽性と判明した。

 男性はその日、ハイヤーの契約を結んでいる病院に連絡し、保健所の指示でホテルに待機。4日後に改めてPCR検査を受け、翌日に陰性との結果が出たが、病院はその日、契約解除を通知した。

 男性は今年3月、病院側を相手取り、契約上の地位確認を求めて福岡地裁に提訴。「単なる風邪と思っても仕方ない状況だった。運行契約は唯一の収入源で、突然の解約はあまりにも過酷だ」と主張した。病院側は「軽い症状でもコロナを疑い、ただちに報告すべきだった。男性を信頼できなくなった」と反論した。

 地裁は「陽性の検査結果は契約継続をためらわせる」とする一方、「当時の病状や解約の経緯も考慮するのが相当」とし、病院側が解決金として90万円を支払う和解案を提案。8月にその内容で調停が成立した。

 男性の代理人弁護士は「男性の対応は確かに適切ではなかったかもしれない。ただ、病院側に実害もなく、解約するほどの義務違反と判断するのは過剰だ」と話す。

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