政府がマイナンバーカードの普及策で健康保険証としての利用に加えて注力するのが、カードの取得者にスマートフォン決済などで利用できるポイントを還元する「マイナポイント」事業だ。衆院選公約で公明党が一律3万円の追加付与を掲げ、岸田文雄首相も乗り気をみせる。ただ、こうした〝ニンジン作戦〟には、普及効果を疑問視する財務省が立ちふさがっている。
「マイナンバーカード普及の強力な後押しと、消費喚起を促すため、一人当たり3万円のポイントを付与する新たなマイナポイント事業の創設を提案する」
公明党の石井啓一幹事長は12日、衆院本会議の代表質問でこう指摘。首相も「与党の議論を踏まえながら検討を進める」と応じたことで、新たなポイント付与が現実味を帯びている。
令和2年9月に始まったマイナポイント事業は既に最大5千円のポイントを還元しており、追加付与となれば普及に一定の効果はありそうだ。全国の自治体で最もマイナカードの交付率が高い石川県加賀市は昨年6月、カード保有者と新たに申請した人に対しマイナポイントとは別枠で市内で使える5千円分の商品券を配布。交付率は今年10月1日現在で70%となり、配布前の2年5月(13・7%)から飛躍的に上昇した。