オリックスが13日のロッテ24回戦に勝てば、いよいよ14年以来7年ぶりの優勝マジックM7が点灯する。

前日12日のロッテ23回戦では、0-2と敗色濃厚だった8回に宗の劇的な同点2ランが飛び出した。「2点負けてますから思い切っていくしかないと思って、腹決めて行きました」と覚悟を持って殊勲弾を飛ばした25歳。ヒーローが涙を流した余韻が残る本拠地・京セラドーム大阪のグラウンドには、午後1時前から選手たちが現れた。Tシャツ姿で打ち込むT-岡田、若月ら主力組。同1時半過ぎには山足、太田、宜保ら二遊間を守る選手が守備位置につき、風岡内野守備走塁コーチのノックを受けた。10日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)で千賀の150キロ直球を左手首に受け、12日の試合を欠場した紅林弘太郎もノックに加わった。ゆったりとした足取りで歩み寄ったのは、中嶋監督。二塁後方から遊撃の定位置の後方に場所を移し、動きを見守り、紅林に声をかけた。グラウンドに、早くも“動”のエネルギーがみなぎっていた。

王者ホークスに迫りながら、サヨナラ負けで夢破れた14年。平野佳、T-岡田、安達ら当時の悔しさを知るメンバーが、今も主力でチームをけん引する。「プレッシャーの中で(野球を)やれるのは僕ら選手にとって、すごく良い経験になる。失敗もありますけど、みんなでカバーしあって、成長していけたら」とT-岡田は言う。19年オフにはプエルトリコのウインターリーグに参加。鈴木優、漆原ら若手とともに異国で自炊もしながら、再起にかけてきた。吉田正が不在の打線だが、T-岡田がいる。その存在感が、若手の力になる。

全員で勝つ-。心をひとつに、まずは今日、マジックを点灯させる。【堀まどか】