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日米英などの大学・研究機関で作る国際研究チームは、宇宙のちりに覆われて隠れていた131億年前の銀河を初めて発見したと発表した。初期の宇宙に未発見の銀河が多く存在する可能性を示し、宇宙誕生の謎の解明につながると期待される。論文が英科学誌ネイチャーに掲載された。
チームに参加する国立天文台の札本佳伸・特任研究員らは、約130億年前の宇宙にある既知の40の銀河を、電波で天体を観測する南米チリのアルマ望遠鏡で観察した。すると、くじら座付近の宇宙空間から発信される電波を、偶然とらえた。
この領域は、目に見える光(可視光)や近赤外線をとらえるハッブル宇宙望遠鏡などでは銀河は観測されていなかった。電波を詳しく観測したところ、大量のちりに覆われて隠れていた銀河が確認できたという。
ちりに隠された銀河が宇宙の初期に発見された例は少なく、131億年前の銀河はこれまでで最も古いという。ちりに隠された銀河は他にも多く存在し、宇宙の初期にこれまで考えられていたよりも銀河が活発に形成された可能性を示しているという。
筑波大の橋本拓也助教(銀河天文学)は「宇宙で最初の星は宇宙誕生の数億年後に作られたとされている。星の集まりである銀河が、宇宙初期に予想よりも活発に形成されていたとしたら、初代星ももっと早い時期に生まれていた可能性がある」と話している。