【ソウル=時吉達也】「言論弾圧法」として批判が強まる韓国の「メディア仲裁法」改正案の審議が大詰めを迎える中、法改正に反対する海外反応と対照的に、韓国社会では法案に同調する動きが目立っている。ネット上では文在寅(ムン・ジェイン)政権に批判的な記者の個人情報に「懸賞金」を設定し、情報を収集、公表する〝記者狩り〟サイトも登場。27日に予定される法案採決を前に、野党側は法案の主要部分の削除を求めるが、世論の支持は広がっていない。
情報提供に「30万ウォン」
氏名やメールアドレス、私用SNSに掲載された家族、知人の写真…。「メディア仲裁法」をめぐる議論が本格化した8月以降、知名度を高めているのが、新聞社やテレビ局の記者6千人以上の個人情報を無断公開したサイト「私のキレギドットコム」だ。「キレギ」は記者(キジャ)のゴミ(スレギ)を意味する韓国語の造語で、マスコミを揶揄(やゆ)する日本語の「マスゴミ」と同義。政権・与党支持層が運営しているとみられ、報道機関の「不道徳と無能」を暴くと主張する。