クアッド首脳会合

半導体供給連携で経済安保強化へ

4カ国首脳会合を前に記念写真に納まる(左から)菅首相、インドのモディ首相、バイデン米大統領、オーストラリアのモリソン首相=24日、ワシントンのホワイトハウス(内閣広報室提供・共同)
4カ国首脳会合を前に記念写真に納まる(左から)菅首相、インドのモディ首相、バイデン米大統領、オーストラリアのモリソン首相=24日、ワシントンのホワイトハウス(内閣広報室提供・共同)

クアッドの首脳会合では、最先端半導体のサプライチェーン(供給網)づくりで、覇権主義を強める中国を意識して、4カ国が連携する方針を確認した。急成長する中国の半導体市場に対抗するだけでなく、深刻な半導体不足や不安定な供給網が各国の経済安全保障を脅かしている現状があるためだ。

共同文書では4カ国協力の重点分野として半導体などの供給網構築の上で「強靱(きょうじん)で多様性があり、安全」を意識することを確認した。成果文書では、半導体の供給網の安全性を強化する「共同イニシアチブ」を立ち上げることも明記した。半導体や重要部品を安全かつ競争力を持って生産、供給できるよう4カ国で支援する。

最先端半導体はスマートフォンや自動車など多様な製品に使われる重要部品だ。最近は需給が逼迫し、自動車メーカーが減産を迫られるなど企業の生産活動に影を落としている。

4カ国合意に先駆けて日米間では供給網構築で連携する方針で一致している。今年4月の首脳会談で半導体の生産が集中する台湾など特定地域への過度な依存を見直し、自国生産を含めた調達の多様化を図る方針を確認した。

米バイデン政権は、韓国や台湾メーカーの国内誘致など最先端半導体の国産化のために巨額の資金を投じ、強化する戦略で日本に先行している。

日本では、経済産業省が6月、経済安保への対応のため半導体産業を国家事業と位置付けた。半導体不足に迅速な対応が迫られる中での4カ国の連携強化は追い風ととらえられる。

半導体製造装置のシェアが高いなどの強みを生かして、米国のように国産化の強化に道筋をつけられるか。4カ国で合意した安全な供給網構築のためにも重要なカギとなりそうだ。(那須慎一)

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