日米豪印首脳の共同声明要旨

日米豪印首脳共同声明の要旨は次の通り。

オーストラリア、インド、日本、米国の首脳は対面で初めて「日米豪印」として集まった。われわれは、共通の安全と繁栄の礎である、自由で開かれたインド太平洋に改めてコミット（関与）する。安全と繁栄を強化するため、国際法に根差し、威圧にひるまず、自由で開かれ、ルールに基づく秩序を推進することにコミットする。法の支配、航行と上空飛行の自由、紛争の平和的解決、民主的価値、国家の領土的一体性を支持する。

第1回の首脳会合以降、新型コロナウイルス感染症、気候危機、重要・新興技術という世界で最も差し迫った課題に取り組む中で、顕著な進展を実現した。

インド太平洋の健康安全保障と新型コロナ対応を支援するために、強固な関係を築き、各国の計画を連携させることを任務とするワクチン専門家作業部会を立ち上げた。全世界で公平なワクチンへのアクセスを確保するために国際枠組み「COVAX（コバックス）」を通じて資金供与されたワクチンに加え、12億回分を超える安全で有効なワクチンの供与をプレッジ（約束）した。

日米豪印による投資を含め、インドの製薬会社「バイオロジカルE」が2022年末までに少なくとも10億回分の安全で有効な新型コロナワクチンを生産することを歓迎する。日本は、33億ドルの緊急支援借款を通じて地域のパートナーのワクチン購入を支援する。

このパンデミック（世界的大流行）の終結と、より良い健康安全保障の構築に向けた取り組みを加速するため、臨床試験などにおける科学技術協力も強化する。

緊急性をもって対応されねばならない気候危機に対処すべく力を合わせてきた。パリ協定に沿った気温の制限を射程に入れ続けるために協働し、気温上昇を産業革命以前の水準から1.5度に抑えるための努力を追求する。インド太平洋地域における重要なステークホルダー（利害関係者）への働き掛けを含め、国際的な野心を高めるために各国外交を連携させる。

安全で透明性のある5G（第5世代移動通信システム）とビヨンド5G通信網の展開を進める。半導体を含む重要技術と物資の強靱（きょうじん）で安全なサプライチェーン（供給網）への前向きなコミットメントを確認する。高い水準の技術革新のため、技術の開発や利用に関する日米豪印原則を発出する。

新しい「日米豪印インフラ・パートナーシップ」を立ち上げ、定期的に会合を行う。欧州連合（EU）を含め、志を同じくするパートナーとの協力を楽しみにしている。

サイバー上の脅威と戦い、重要インフラを保全するための協働を誓う。宇宙分野では、気候変動の監視、災害対応、防災、海洋資源の持続的な利用、共通の領域における課題への対応など平和的目的のために衛星データを共有する。

日米豪印フェローシップを創設し、教育と人的交流に係る新たな協力に乗り出す。

アフガニスタンに対する外交、経済、人権政策を緊密に調整し、国連安全保障理事会決議に従って、テロ対策と人道分野での協力を深化させていく。出国を希望する全ての人々への安全な通行の提供と、女性、児童、少数派を含むアフガニスタン人の人権尊重の確保をタリバンに求める。

東・南シナ海を含め、ルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対応するため、国際法の順守を擁護する。太平洋島しょ国に対する質の高い持続可能なインフラに関する支援と、気候変動の影響緩和のための連携を継続する。

国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、日本人拉致問題の即時解決の必要性を確認する。北朝鮮に対し、国連の義務に従い、挑発行為を控えるとともに実質的な対話に関与するよう求める。

ミャンマーにおける暴力の停止、外国人を含む全ての政治犯の解放、建設的な対話への関与、民主主義の早期回復を引き続き求める。

われわれは協力する習慣を積み上げていく。首脳および外相は毎年会合を開催する。

〔共同〕