ロンドンの公園で女性教師殺害 数百人が追悼
ロンドン南東部キッドブルックで17日夜、友人に会いに公園内を歩いていた28歳の女性教師が殺害された事件を受け、24日夜に500人以上が現場近くで追悼集会を開いた。
小学校教師のサビーナ・ネッサさんは17日午後8時半ごろに自宅を出た後、友人に会いにパブへ向かっていたが、18日に公園内の通路近くで遺体が通行人に発見された。
ロンドン警視庁は、自宅から目的地のパブまで「5分とかからない」間にネッサさんが何者かに襲われたとして捜査を進めている。これまでに男性2人をいったん逮捕したものの、釈放した。
警察は現在、現場近くの防犯カメラが捉えた男性の行方を探している。灰色のジーンズと黒いジャケット姿の男性は、何かを手にして歩道を歩いており、肩越しに振り返りながら、フードをかぶり直している。
ロンドンでは今年3月、歩いて帰宅中の女性会社員サラ・エヴァラードさん(33)の行方が分からなくなり、現職警官に誘拐・殺害されたことが判明。事件は大勢に衝撃を与えた。
夜道の安全を求める市民の運動もこれを機に本格化し、英政府は街灯の増設など緊急対策を発表した。
「またしても通りを歩く女性の安全が」
ネッサさんの遺体が見つかった現場に近いペグラー広場には24日夜、500人以上が集まった。ネッサさんは事件に遭った際、この広場を目指していたとされる。
追悼式の主催者たちは、「彼女の名前を口にして。サビーナ・ネッサ。絶対に忘れない」と呼びかけた。
姉のジェビナ・ヤスミン・イスラムさんは涙ながらに、集まった人たちに感謝し、「素晴らしい、思いやり深い、美しい妹を、あまりに早く失ってしまった」と悲しんだ。
「私たち家族の気持ちを言葉で表現できません。まるで悪夢の中から出られないかのような。私たちの世界は粉々に壊れてしまい、まったく言葉もありません」として、「このような思いをどの家族も経験してはならない」と述べた。
ネッサさんのおじ、シャヒン・ミアさんは声明で、「またしても通りを歩く女性の安全が、問題となって浮上してしまった」として、「サビーナに起きたことがほかの誰にも起きてほしくない。よその母親の胸がうつろになったり、深い悲しみであふれたり、よその父親の目に涙があふれるのを見たくない」と、市内の安全対策強化を呼び掛けた。
ロンドン・ダウニング街の首相官邸では同日夜、玄関前に追悼のろうそくが置かれた。
英王室ウィリアム王子の妻、ケンブリッジ公爵夫人ケイト妃は、「またしてもこの国の往来で、罪のない若い女性の命が失われたことを悲しんでいます」とコメントを発表した。ケイト妃は今年3月のエヴァラードさん殺害事件の後、ロンドン南西部の現場を追悼に訪れていた。
24日夜にはほかにも、ロンドン東部ハックニーやニューアム、英南西部ブリストル、英南部ブライトンなどで、追悼集会が開かれた。
ブライトンの地元自治体ブライトン・アンド・ホーヴ・カウンシルの報道担当は、「すべての女性と女子は、自分が住む街の通りで、公園で、開かれた場所で、そして自宅で、自分は安全だと安心していられなくてはならない」と述べ、「ホーヴ市役所とブライトン市役所で本日、サビーナ・ネッサさんを追悼するため、そして女性や女子に対する暴力について認識を高めてもらうため、半旗を掲げた」と説明した。