米、高齢者らに3回目接種開始 バイデン氏呼びかけ
【ニューヨーク=野村優子】バイデン米大統領は24日、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックの新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の追加接種(ブースター接種)を開始すると表明した。対象は65歳以上の高齢者ら。同日から各地で接種が始まった。
追加接種はファイザー製の2回目を接種してから6カ月後となる。全米4万カ所の薬局を含め、8万カ所の医療機関などで接種できる。対象は65歳以上と基礎疾患を持つ重症になるリスクの高い人、医療従事者ら感染リスクの高い職に就く人の全米6000万人で、このうち24日時点で接種可能となるのは2000万人という。
米食品医薬品局(FDA)の承認と米疾病対策センター(CDC)の勧告を受け、追加接種が可能になった。バイデン氏は同日の会見で「3月までにファイザー製を接種完了して対象者であれば、今、追加接種が可能だ。追加接種をしてください」と呼びかけた。自身も追加接種の対象だとして、できるだけ早く接種するという。
モデルナ製とジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製については、追加接種がまだ認められていない。バイデン氏は「これらのワクチンは引き続き高い予防効果を維持している。追加接種がいつ必要になるか、データを精査中だ」と述べた。バイデン政権は当初、ファイザー製とモデルナ製について、9月下旬から幅広い年齢層を対象に追加接種を開始する計画だった。
CDCは24日未明、65歳以上や重症化リスクの高い人、感染リスクの高い職に就く人の追加接種を勧告した。CDCが23日に開いた諮問委員会では、追加接種の必要性に関するデータなどが不足しているとして、感染リスクの高い職に就く18~64歳への追加接種は推奨しないと結論づけていた。
諮問委の提言に拘束力はないものの基本的に採用されるため、CDCがこれに反して勧告するのは異例だ。CDCのワレンスキー所長は24日の会見で「入手可能なデータが限られるなか、難しい判断だった。職業に基づく勧告については(諮問委の賛否が)僅差で、私自身が投票するとしたら賛成だったことも決定に反映した」と説明した。
FDAは22日、65歳以上と重症化リスクの高い人、感染リスクの高い職に就く人を対象に、ファイザー製の追加接種を承認している。
バイデン氏は、「1回もワクチンを接種していない人が7000万人もいる。誤情報を拡散する人もいて、受け入れがたい」と述べ、未接種者へのいら立ちもみせた。ワクチン接種を完了した米人口の割合は55%にとどまっている。
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