女子ゴルフの渋野日向子(22=サントリー)が、来季は下部ツアーでも、主戦場を米国に移したい意向を明かした。国内ツアーのミヤギテレビ杯ダンロップ女子に向け開幕前日の23日、会場の宮城・利府GCでプロアマ戦出場後に会見。親交のある石川遼の米下部ツアーへの挑戦表明を受け、米女子ツアーを目指したい気持ちが高まり告白した。20代のメジャー優勝者では異例の、下部ツアーからの米挑戦も辞さない覚悟だ。

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覚悟と決意が、渋野からにじみ出ていた。これまで何度も助言を受けるなど、大きな影響を受けてきた石川が米下部ツアー挑戦を表明。同様に下部ツアー参戦の可能性があるか問われると、言葉が熱を帯びた。

渋野 そのつもりです。1番(の目標)はUSLPGA(米女子ツアー)で戦うことですけど、もし自分がこけてしまった場合の選択肢は全然ある。ネガティブな思いはない。

19年にAIG全英女子オープンを制した。今年の全米女子オープンを制した笹生優花のように、メジャーを制すれば、即座に米ツアーに継続参戦できる権利が与えられる。だが2年前の渋野はそうしなかった。国内ツアーで経験を積んで米挑戦-。その青写真は新型コロナウイルスの影響で、米女子ツアー出場権をかけた昨年の予選会(Qスクール)が行われずに狂った。今年は11月29日からのQスクールに参加予定。上位20人ほどに入らなければ下部のシメトラツアーに回る。まだ若いメジャー優勝経験者が、下部ツアー参戦という異例の事態もあり得る。

渋野 (石川は)PGA(米男子ツアー)で戦いたいという気持ちがあるからこその決断だと思う。本当にすごいと思いますし、尊敬でしかない。松山(英樹)さんだったり、(畑岡)奈紗ちゃんだったり、笹生優花だったり。米国で戦う姿を見て「私も米国で」という気持ちになりましたし、今回の遼さんの話も。私ももっと頑張らないといけないし、米国への強い気持ちも増しました。

下部ツアーは優勝しても賞金は1大会3万ドル(約330万円)程度で、全米女子オープンの100万ドル(約1億1000万円)には遠く及ばない。自らキャディーバッグを担ぐ可能性もあるが「そういうことも含めて、いろいろと大変だとは思うけど、すごく人生において価値のあること」ときっぱり。メジャー女王の肩書は忘れ、泥水をすする覚悟で米国に挑む。【高田文太】

◆シメトラツアー 現役では有村智恵、森田遥らが出場経験がある。年間成績上位は、翌年の米女子ツアーの出場権を獲得する。今年は20試合を実施予定で、各大会の賞金総額は15万ドル(約1650万円)~25万ドル(2750万円)。優勝賞金は2万2500ドル(約248万円)~3万7500ドル(約413万円)。渋野がシード権を持つ国内ツアーは、今季は最低でも優勝賞金が1080万円。