阪神が執念の攻撃で中日守護神R・マルティネスを攻略し、首位を守った。同点の9回、先頭の島田がヒットと二盗でチャンスメーク。不振のサンズがチーム打撃に徹した“大根斬り”の一ゴロで三塁に進めると、約1カ月ぶりスタメンの木浪が勝ち越し犠飛。2位ヤクルトが勝ったため、負ければ首位陥落の危機だった。脇役たちも一丸となり、泥臭く大きな1勝をつかんだ。

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阪神が全員野球で決勝の1点をもぎ取った。同点の9回1死三塁、8月28日広島戦以来17試合ぶりにスタメン起用された木浪が左翼へ決勝の犠飛。「絶対にここで打つ」と152キロ直球に食らいついた。木浪が「今日は自分が(試合前の)声出しで『全員野球』と言ったんですけど、まさにその野球ができたと思います」と話す通り、ナインの勝利への執念が形となった。

途中出場の島田が二塁内野安打で出塁。サンズの2球目に二盗を決めると、サンズは8球目の内角高めボール球を大根斬りするように右打ちし一ゴロ。進塁打で1死三塁をつくった。矢野監督は「何とかしようという形で三塁に進めてくれて。みんなの気持ちもつながったと思うし、聖也(木浪)もよくしっかりかえしてくれた。頭の中では代打もよぎったけど」とベンチには大山も糸井も残っていたが、木浪に託した。

過去2度の対戦で無得点に封じられていた柳対策として、ただ1人柳から2安打の木浪をスタメンに抜てきした。木浪本人が「守備でしょうもないミスをしてしまって」と話すように、6回1死一、二塁の守りで福留の二ゴロを一塁に送球。併殺を逃し、2死二、三塁から京田に2点同点適時打を許していた。それでも9回の打席に立たせてくれた矢野監督に対し「結果を残せて恩返しができた」と安堵(あんど)した。

2位ヤクルトが勝ち、1・5ゲーム差のまま。矢野監督は「まあ我慢の中で拾えた」と、打線が低調な中、全員でつかみ取った大きな1勝を喜んだ。【石橋隆雄】