別荘地で地価上昇 背景に投資継続と「二地域居住」

21日公表の都道府県地価(基準地価)調査では、地方は主要都市を除いて軒並み下落傾向が続いた一方、主な別荘地ではおおむね大きく上昇した。国土交通省は、新型コロナウイルス収束後を見据えた投資や開発の継続に加え、感染拡大予防策として促された生活拠点を複数構える「二地域居住」による需要増なども理由に挙げている。

同じ自治体の中に複数の基準地点があるケースは多いが、調査では別荘が多い地区にある基準地点を「別荘地」として抽出。世界的なリゾートブランドとなった北海道倶知安町(上昇率17・4%)をはじめ、長野県軽井沢町(同13・6%)や山梨県富士河口湖町(同5・2%)の各別荘地は大幅に上昇した。神奈川県箱根町もマイナス0・5%ながら下落率は縮小した。

軽井沢町では、以前からあったリゾートテレワーク需要がコロナ禍で喚起され、観光需要が落ち込む地元を支える。長野県の地価調査を担当する塚田賢治・不動産鑑定士は「(軽井沢町は)去年の大型連休以降、年が明けてもテレワークやゲストハウス(簡易宿所)といった需要は強い。最近の土砂災害の影響で平らな物件が人気だが、傾斜地などでも少し上がっている」と話す。

国交省によると、別荘地では国内外からの旺盛な投資の継続に加え、軽井沢町などでコロナ禍における都市部からの移住が拡大。それに伴う商業地の地価上昇もみられるという。

同省は「本来の別荘地需要もあると思うが、コロナによって(週末を田舎で過ごすといった)二地域居住みたいな新たな需要がかなり出ている」と説明する。

一方、都心から特急で約1時間とアクセスが良い千葉県外房の一宮町。東京五輪のサーフィン会場にもなった同町は、サーファーなどから移住やセカンドハウスの需要が広がり、それぞれ上昇率が大きい地点で、商業地は7・3%、住宅地は8・1%となった。

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