パリのシンボル、凱旋門がそのままどこかへ運び出されるかのように青みを帯びた銀色の布で梱包された。米現代美術家の故クリストさん(1935~2020年)夫妻の遺作となる作品の展示が18日始まった。10月3日まで。
ブルガリア生まれのクリスト(本名クリスト・ヤバチェフ)さんは、妻ジャンヌ・クロードさん(1935~2009年)と共に活動し、建物や景観を布やロープで包んだり覆ったりする「梱包芸術」で知られた。夫妻はパリで暮らしていた1961年に凱旋門梱包を最初に構想したが、生前に実現できなかった。
使用した布は再利用可能なポリプロピレン製で計約2万5千平方メートルに及ぶ。約1400万ユーロ(約18億円)に上る総費用は全て夫妻側が拠出。クリストさんのおいが監修を担った。
パリでクリストさん夫妻は85年にセーヌ川に架かる橋ポンヌフを既に梱包した。91年には茨城県北部と米カリフォルニア州で巨大な傘を並べる作品を展示した。(共同)