メジャーのトレード期限(7月30日)が過ぎ、各チームは新たなスタートを切りました。ワールドシリーズ連覇を狙うドジャースや巻き返しを図るヤンキースなどがビッグネームの選手の大補強に踏み切った一方、「売り手」に回ってチーム再建へかじを切った球団もあります。

大谷翔平投手(27)が所属するエンゼルスは、期限前に先発左腕アンドルー・ヒーニー(30)をヤンキースへ、救援左腕トニー・ワトソン(36)をジャイアンツへ放出。それまで勝率5割前後を行ったり来たりしていましたが、あっさりと来季へ向けた戦いに切り替えました。2日からのレンジャーズ4連戦を3勝1敗と勝ち越したため、皮肉にも貯金1となりましたが、もはや後戻りはできません。

確かに、数字上はまだプレーオフ進出の可能性は十分に残っていますが、チーム状態が厳しいことは否めません。というのも、主砲マイク・トラウト外野手(29)が右ふくらはぎ痛のため、長期離脱中で復帰のメドは立っていません。さらに、左股関節の手術を受けた大砲アンソニー・レンドン内野手(31)が今季絶望となるなど、戦力は整っていません。開幕以来、投手陣の層も十分ではなく、同地区で上位を走るアストロズ、アスレチックス、マリナーズとの争いに加わり、その差を埋めることは現実的ではない、と判断したものと思われます。

となると、今後は若手育成を主眼に置いて戦うことになるわけですが、公式戦はまだ50試合以上も残っています。とりわけ、本塁打、打点の両部門でタイトル争いをしている大谷にすれば、大事な試合であることに変わりはありません。エンゼルスタジアムに足を運ぶファンの多くが、大谷のプレーを楽しみにしているのも確かです。

もちろん、大谷自身も自分への期待値や役割は十分に理解しています。

「チーム的にも苦しいですし、なるべく(試合に)出て、貢献できるように頑張りたいと思います」

ただ、今季は初めて「二刀流」でフル稼働しているわけで、本格的な夏場を迎え、おそらく疲労は蓄積しているはずです。疲労は成績低下だけでなく、故障にもつながりかねません。

ファンの期待に応えようとする気持ちも大事ですが、くれぐれもケガをしないように、無理だけはしないでほしいものです。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)