16年リオデジャネイロ五輪金メダリストの土性沙羅(26=東新住建)の2連覇の夢が散った。

1回戦で、19年世界選手権3回戦で敗れた現世界女王のタミラ・ストックメンサ(米国)と激突。いきなりの正念場だったが、0-10のテクニカルフォール負けした。「情けない。タックルに入られて対応ができなかった」と肩を落とした。敗者復活戦に回る可能性を残したが、金メダルの可能性は消えた。男女通じて初の重量級での連覇はならなかった。

19年からの11度の国際大会で10度の優勝。1月の米国内のイベント戦では、76キロ級の世界王者アデライン・グレイにも勝利するなど、階級を超えた「女子最強」とも言える相手。19年世界選手権では1-10の完敗を喫していた。

雪辱を期したが、壁は厚かった。50秒過ぎに胴タックルに入られ、寝技でもローリングを許して0-4。1分50秒過ぎに再び同じ形で胴タックルを決められ、寝技で加点を許して敗北した。

リオで頂点に立った最大の武器、思い切りの良い正面タックルだけでは、2連覇はない。18年4月に手術した肩の回復具合などを考えると、スタイルを変えざるを得なかった。この1年でも、がぶりや横からのタックル、カウンターなど、多彩な技を身に付け、攻撃の幅を増やしてきた。

「(リオは)初めての五輪で、勢いでいけた。苦しいこともなく、スッと内定を得ることができていた。今回はそうはいかず、本当に大変なのだな、と思わされた。でも、負けたことで自分の弱さを実感できたし、次に勝つにはどうすればいいのかを考えることができた。すごく成長できたと思う」。苦難を知り、もがいてきた5年間だった。